第一部 作品の魅力を伝える方法 ~刺さる”ことば”の選び方~


 今回はおなじみ萩原編集長と、元書店員で「日本一ライトノベルを売る男」という肩書きを持つ営業部の大塚さんが登壇。


 萩原編集長、やっぱりシルバーアクセだった!笑


 余談ではありますが、業界の人たちから聞く話によるとKADOKAWAって営業の人材に力入れてるって評判らしいのです。なので、大塚さんが登壇されたのはかなり貴重な機会だったのではと思います。


 講演の内容は、Web小説におけるキャッチコピーの重要性から、実際の編集の現場ではどういう風に考えてタイトルや帯を考えているかというお話でした。


○なぜキャッチコピーが重要なのか?

 お話を聞く中でキャッチコピーには二つの役割がある、という風に感じました。


①作品の軸となる部分だから

 面白い作品は一言でその魅力を伝えられる。だからこそ色んな人に伝わり、売れる作品になる。編集の目線ではその作品を見て頭の中にキャッチコピーが浮かぶか?を書籍化の一つの条件にしているそうです。

 逆に言えば、プロの作品でもこの軸が固まっていなければボツにする。そうでないとキャッチコピーだけでなく本文の方向性やイラストの方向性も曖昧になってしまう。

 ましてやWeb小説は編集が入らないまま作品が世に出るので、作者は作家兼編集者のつもりでこの部分もしっかり考えないといけません。


②読者を振り向かせるためのものだから

 読者の時間は限られています。そもそも読書が趣味じゃない人もいるし、読書が好きな人でも他の作品との時間の奪い合い。

 いちいち本文を読んで判断することも難しいので、タイトルやキャッチコピーがいかに彼らの目を引けるかがまず読んでもらえるか否かの第一歩につながります。

 書店で本を探すときとWeb小説を探すときの行動心理はほぼ変わらないので、わからなくなったら自分が本を買う時のことをイメージしてみてください、とのこと。



○どうやったらいいキャッチコピーが書けるか?


①面白さの保証を具体化する

 「〇〇賞受賞」「書店員が勧める!」、Webであれば「〇〇PV突破!」など、客観的基準でその作品が面白いものであることを保証する文言をキャッチコピーに含める。


②ベネフィットを伝える

 この作品を読むことで読者は何を得られるか? を伝えるキャッチコピーにする。作品のテーマにもあたる部分なので、これがちゃんと言える作品は軸もブレにくいでしょう。


③読者のニーズを直撃する

 「泣ける!」「これはスチームパンク」「男の娘登場」など、「こういう作品読みたいなー」と思っている読者のニーズに焦点を当てるやり方。あえて万人受けを狙わない方法ですね。


④キャッチの中にあえて矛盾する言葉を入れる

 『冴えない彼女(ヒロイン)の育て方』が例として挙げられていました。「冴えない」と「ヒロイン」は本来対義語なので、ぱっと見意味がわからず「どういうこと…?」と読者が立ち止まるのを狙います。

 ちなみにこれの元ネタは『やさしい龍の殺し方』だそうです。自分が気になったタイトルやキャッチをメモしてストックしておくと、役に立つ時が来るかもしれません。



 私はコピーライター講座に通っていたことがあるのですが、この辺はその時の講義でも聞いたことのある内容でした。小説となるとその時学んだことを活かしきれていない部分もあるんですが、お兄ちゃんエッセイは結構キャッチコピーや各話タイトルに力を入れているのでご参考までに。



▼キャッチコピー「エロ動画はシークレットウィンドウで見ろ! 意味が分からなきゃ本作を読め!」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881202146


※質疑応答は前回ともかぶるところが多いので省略します。気になる方は次ページの全文メモをご確認ください。



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