OPNING PHASE
◆Opening 00◆ 双子のチルドレン
東京近郊の都市・
彼女たちの名前は
GM:では本編行きましょう。最初はグランドオープニングって事で引っ越してくるシーン。侵蝕率はまだ上げなくていいよ。
美春:はーい。
GM:キミたちは現在、高塚市の支部に……あ、説明がまだでした。
この高塚市は東京近郊にある人口十万ほどの都市です。今まで大きな事件が起きた事がないので支部はありますがスタッフは二人しかいません。支部長と補佐のエージェントですね。あとチルドレンがたまにいたりとかそんな感じです。イリーガルも居ますが呼び出すほどの事件はそうそう起こりません。定時連絡代わりに顔を出しに来る程度。
そんなのんびりした平和な街です。ちなみに支部は駅前の商店街にあるちょっと古い建物。
美春:古いって赤レンガ造りみたいな? さすがに白川郷ばりの合掌造りとかじゃないよね?
どこの時代まで遡る気ですか。
GM:せいぜい第二次世界大戦後でお願いしたいな……二階建てで一階がアンティークショップ、二階が支部長の自宅。実は地下があってそこに支部の機能がある、というそんな感じ。……で、キミたちは今その建物の目の前にいます。
商店街の中にあるちょっと古ぼけたお店。ドアの横には可愛い文字で「アンティークショップ〝Bluemoon〟」と書かれた看板が置かれていた。
「来夏……たぶんここ……」
地図を見ながらツインテールの少女がつぶやいた。
GM:アンティークショップですがそこまで怪しい店ではないです。
来夏:入りづらい事でもあるんでしょうか……?
美春:一見さんが入りづらい雰囲気は醸し出してるような感じ?
GM:明るめで学校帰りの女子高生とかが気軽に寄れそうな感じ。……まぁ前の方は一般向きで奥の方にちょっとだけ玄人向きがあると。
美春:では……地図を持っているのは間違いなく美春だと思うので……
来夏:ですね。
「や、やっとついた……」
気が抜けたのだろうか。その少女は持っていた荷物ごと地面に崩れ落ちた。
横でもう一人の少女が笑う。
「も~、美春は弱いなぁ~」
「ら、来夏……。【肉体】1にそれを言わないで……」
GM:いきなりメタるな(苦笑)つか来夏が二人分持てばいいのに。
美春と呼ばれたツインテールの少女は地面に座り込みながらも反論する。
「そもそも、最初に地図持ってたのに駅の反対側に出た来夏がいけないんじゃない……。自信たっぷりにこっちって言ったじゃない~っ!」
GM:来夏のせいで迷子になったんか(苦笑)
「だって明らかにあっちの方が栄えてたじゃない!」
責任を押し付けられたポニーテールの少女――来夏が叫ぶが、美春はそれを聞き流して扉を指さした。
「先に店に入る役目は来夏に任せた……。わたしはここで待っているから……」
そう言われた来夏は仕方なく、店のドアに手を伸ばした。ドアはガラス張りで中の様子が見える。目を凝らすと、その中にウサギの形をしたオルゴールがあるのに気づいた。
「あ! あれかわいい! 美春、あれ見に行こう!!」
「え?ちょっと待って! 見に行くんじゃなくてさ……」
来夏の声に美春が制止しようとするのだが……
「こんにちは~!」
「ええっ! 来夏っ!」
その声を無視して普通に店に入る来夏。美春は慌てて立ちあがって彼女の後を追った。
店の中には様々なものが置かれていた。いかにも女の子が好みそうな雑貨類に目をきらめかせる来夏。
そんな彼女をよそに、美春は店内を観察する。ドアの近辺には確かに可愛い雑貨類が置かれているが店の奥の方に高価そうなライトが置かれているのが見えた。扱う範囲は結構広いのかもしれない。
店にいる人物は自分たちを除くと奥で雑誌を読んでいる女性だけのようだ。座っている場所とつけているエプロンから見るに店員だと思われる。派手めの化粧と盛大に盛った髪型。どこかの雑誌で読んだ「アゲ嬢」みたいな印象。その姿は、人と接した経験がまだ少ない美春にとって十分「怖い人」という印象を与えた。
(うっ、近づきづらい……来夏に声かけてもらおうかな……?)
そう思った美春であるが……
「このオルゴール可愛い~♪ あ、こっちもいいな~☆」
肝心の相方はオルゴールに夢中でここに来た目的などすっかり忘れているようだった。
美春:このままだと「すみません、このウサギのオルゴール、いくらですか?」とか話しかけそう。
来夏:そっちの方向だよね……どうするかなぁ。
GM:支部長の名前は聞いて来てるからそれ出せばいいやん(笑)ちなみに「
(もう、しょうがないなぁ。)
美春は勇気を振り絞って店員らしき女性に声をかけた。
「あの、すみません……。……え、えーと…………お、大月といいます。あの……こちら……U…………」
美春:UGNと言っていいのか迷う。……あ、こう言えばいいのか。いまのやりなおし。
「すみません、相沢奈月さんを訪ねてきたんですけど……」
その声に女性が反応する。
「あー、奈月ね。話は聞いてるわ、ちょっと待ってて」
女性は雑誌を横に置くと、奥の方に向かって「奈月ー、お客さん」と声をかけた。
やがて、奥からスーツを着込んだショートカットヘアの女の人が出てきた。彼女が支部長なのだろうか?
美春:よかった、まともそうな人だ。
来夏:それって、なんかトンデモ支部長ばかりに会ってきたかのような……
GM:確かに咲名さんの絡んだリプレイは変な支部長がちらほらいた気がするがそんなのは今はどうでもいい(汗)
緊張気味の美春。一方、彼女はにこりと微笑んだ。
「こんにちは。えっと、大月来夏さんと……」
「あ、はーい!」
オルゴールを触っていた来夏が反応する。
「大月美春さん」
「はい、わたしです」
「とりあえず、こちらにいらっしゃい」
その声と共に、二人は建物の二階にある居間へと通された。
「ようこそ、高塚市支部へ。わたしは支部長の〝ブルームーン〟相沢奈月よ。で、店先に居た人がうちのエージェントのさやか。まずはうちの支部について説明するわね」
GM:そう言ってさっき説明したような事を話してくれます。キミたちは何か事件があったから呼ばれたわけではなくチルドレンの入れ替えで来たと。……霧谷さん指令かな?何か大事件が起きたから派遣されたというわけではないです。
美春:大きいものがない?
GM:少なくてもきくたけ流世界の危機(笑)みたいなのはない。
美春:あれはでかすぎだ!(一同爆笑)
一通り説明を受けた後、美春と来夏は顔を見合わせた。
「……ねぇ来夏。わたし達ここで何をすればいいのかな?」
「確かに……しばらくここにいるようにって……」
GM:まぁ理由があるとすれば社会勉強でしょうか。
美春:そんなことは考えてもいないので……「来夏、とりあえず掃除とかそういうのかな?」と大真面目に言ってみる。学校に通うなどこれっぽっちも思っていない。
GM:そんな二人の前に支部長は書類を積み上げる。家と学校は確保されてます(笑)家はここから少し歩いたところにあるマンションの一室。
美春:わたし、目覚めたばかりって設定でしたよね?……半年くらいだったかな?なので書類を見てびっくりしよう。
突然聞かされた「学校に行く」という事実。それは美春を混乱に陥れるには十分だった。
「え?わたしも学校に行くんですか?」
「霧谷さんからはそう聞いてますが……?」
支部長の言葉に、美春はそのまま固まってしまった。
「ああ~っ! あの、あまり行った事がないので楽しみだなって思って! わたしたち、ずっと施設だったものね」
そこに来夏が助け舟を出したが、正直助けになったかは怪しい状態。
「そ、そう! そうなんです!」
来夏:それは嘘じゃないしね。あ、クラスって一緒でいいのかな? 双子ってクラス分かれるよね?
GM:あー、それは諸事情で同じになったという事で。……そういえばこれ聞くの忘れてた。(美春が)レネビだって明かす? ここで「明かさない」と言う事にすれば霧谷さんは知っててあえて黙っているということにするよ。
美春:うーん、うるさそうだから黙っておく。ロイスに
GM:了解。……というわけでそんな感じで話は進み、支部での顔合わせは終了。「用事がなくても遊びに来る分には歓迎ですよ」と言って送り出してくれます。
美春:なんかわくわくしてそう。
GM:ショップに戻って店員に声をかけます。
「さやか、この子たちが今度うちの支部に来たチルドレン。大月来夏さんと美春さんね」
「よろしく! わたしは〝タンドゥールプワゾン〟
見た目でやや敬遠気味だったが、その声と笑顔はとても優しそうな人に見えた。
美春:プワゾン? すごい難しいコードネーム……
来夏:毒って意味ですよね?
GM:ぴんぽーん♪ ちなみに元ネタは香水の名前です。ではキミ達は支部を出て家へと向かいます。
支部での顔合わせを終え、二人は用意された家へと向かった。支部から約10分ほどの場所にあるマンションの一室はご丁寧にオートロック付き。心配性な霧谷さんの差し金だろうか。
「わーい、新しい家~♪」
無邪気に喜ぶ来夏。それと対照的に美春は真剣な顔をしていた。
「ねぇ来夏。わたし達、やらなければならない事があると思うの」
GM:え? 何するの??
「あのね……速やかにそこのスーパーに買い物に行って、速やかに帰宅して、速やかに収納して、速やかにご飯の準備をしないと!」
「え? 寄り道しちゃダメなの?」
GM:(笑)……つかそんな話かい。てっきり部屋の取り合いでも始めるのかと思ったじゃないか。
美春:あれゴメン。
来夏:双子だし一緒に寝てもいいかなって思ってた。
美春:そしてそばを買ってくる。引っ越ししたらまずそばだよね!
来夏:美春……それ、どこで聞いてきたの!?
美春:霧谷さんが言ってた!(一同笑)茹でるだけだし。
GM:……まぁ、そこに霧谷さんが笑顔でそばを出前してこないだけいいと思ってくれ(一同爆笑)
それからの数日はあっという間に過ぎた。
気がつけば日曜日の夜。明日は初めて学校に行く日という事で来夏は学校の支度をしていた。
「明日から学校~♪ ねぇ、美春、学校ってどんなとこだろうね?」
弾んだ声を出しながら振り向くと、美春は鏡の前で制服を試着していた。
「来夏~! このリボン、どうやって付けるの~? 写真みたいに勝手に胸につかないよね?どうしたらいいの~っ!?」
「あーこれはね……」
持っていくものを揃えたらあっという間に寝る時間に。二人は明日からの学校生活に心躍らせながら眠りについたのだった……。
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