水色の風

 空を埋める一面の雲の隙間のなさを

 それでも漏れてくる光を頼りに目を覚ますと

 窓からは昨日と同じ景色を放送中だ

 繰り返し 繰り返し 神様からのアンコール


 それで漂ってくる匂いを また懐かしい思い出を

 あの空の向こうからもうすぐやってくる気がする

 追憶の彼方 もう戻らないあの日々の記憶

 この雲の支配の終わりは近い


 近いはず


 そうさ いつだって同じだったよ

 雨上がりの無人駅

 しっとり湿った獣道

 神社の裏の秘密基地

 あの丘に登って世界を見下ろせば…


 キラキラ光る海

 風が優しく囁いている

 きっとそこは今日と明日の境界線


 少しずつ 少しずつ 雲が破られて

 次々と光が舞い降りていく

 言葉にも出来ない清浄な世界が広がっていく


 全てが洗われ 清められ 次の季節の準備は進む

 幕が上がればそこは暑くて熱い蜃気楼の夏

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