担任に志望校を二度見された話

昔はそこそこ勉強ができたので、田舎の自称進学校とやらに通っていた。そこでの成績は可もなく不可もなく。そこそこだった。


そこそこの世界を生きていた私は、大学というものをまるで知らなかった。

大学の、名前を知らなかった。


さすがに東大京大などは知っていた。しかし「いい大学に行くよりも、入って何をするかが大事だ」と考えていたので、正直言って受験戦争には興味がなかった。


頭が悪すぎてはなから諦めていたというわけではない。断じて。


世界史の最低点数は8点だったけれど。


紆余曲折あって、日本語教育を学びたいと考えた私は、日本語を総合的に学べるところに志望校を定めた。


でまあ、受験勉強の話は置いといて。


センター試験の結果から、後期日程の受験校を選ばなければならなかった。


試験の結果は割とよかった。受験教科を絞るのであれば、受験校もよりどりみどりと言えた。


しかし、「私立に行かせる金はない」と言われていた私は、このたった二回の受験で合格せねばならなかった。


熟考に熟考を重ねて決めた大学が、


「○○大学 国際○○学部 社会○○学科 ウルドゥー語専攻」

※うろ覚え


二度見する担任の気持ちも、今思えばわからなくはない。過去最高に、担任は動揺していた。


「ほんとに?」

「あ、いや、興味あるんで」


嘘つけ。お前が行こうとした学部どこだよ。


本気で受験してた人に申し訳ないんですが、大学生になるために選びました。そういう意味で私なりに本気ではありました。ごめんなさい。


ちなみに、大学生には、なれた。


教職課程は、地理を選択した。


今は、事務職。


そして、高校時代の得意教科は、生物だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る