世界が滅ぶ前にしたい一〇〇〇〇の事

にらたま

残り30日

8月1日 Am,11:00


「んっ...くあぁっぁぁ」

そういって「九瀬 暦」は勉強のために先ほどまで動かしていた手を止め

大きく伸びをする

そして、チラリと時計を見る

現在時刻午前11時、

勉強を開始した9時から二時間経っている

休憩するにはちょうどいい時間帯だ

学校は夏休み真っただ中なので宿題という拷問が枷れているが

早く遊びたい! その一心で頑張った結果、夏休み開始三日目で大半が終わった

残りは今やっている問題集だけだが、ここらへんで昼食まで休憩しよう

そう思いテレビをつける

だが、流れてくるのは大物政治家が失脚しただとか

約一か月後に、人工衛星カガミ? が十数年ぶりに地球に戻ってくるとか

興味がある話は何もしていない

すぐに興味が失せたので消す

だが暇なので、小説を取り出そうと思い、引き出しを開け、そこに手を伸ばす

いつも通りの流れ作業、そのため引き出しの中を見なかった

———————それがいけなかったのであろう

机の中には、かのネコ型ロボットもびっくりの異空間が広がっていた

それに気づかない九瀬は、そこに手を伸ばし―———触れる

—————その瞬間、世界がした

「————あ?........なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

勿論というべきかやはりというべきか、九瀬の意識はそこで途絶える



「いっつぅぅぅ....!」

頭から落ちたのか、後頭部がとにかくいたい

周りを一通り見回してみるが、みえるものはすべて白

そう、真っ白なのだ

どこまで見回してもただただ白

—————あ?

いや一点だけおかしい場所があった

この白い空間には異質と思われるい服を着た少女が

またも真っ黒な西洋風のイスに座り、

その前にはセットと思われる真っ黒なテーブルがあった


————さて唐突だが質問です

こんな時皆さんならどうするだろうか

小説を読もうと思ったら、よくわからない空間に飛ばされて

しかも、そこにいた少女が俺のを読んでいたらどうするのか


回答 

   ねーよ そんな状況まずねーよ


お宝というのは—————男性諸君ならわかるだろう

いわゆる————エロ本である

「.........」

俺のお宝を取り返すためにも少女に近づく

「おい」と、声をかけようとした次の瞬間少女から逆に問いかけられる


「やあ、待ちくたびれたよ、九瀬君。

 立ち話もなんだから座って、取り敢えずお茶でもどうだい?」




こぽこぽこぽと、音を立て深紅の液体が純白のティーカップの中に注ぎ込まれる

「はい、どうぞ」

「あ、どうも..........」

————なんで俺はこんなにくつろいじゃってるのか

最初はそんなことも考えたりもしたが、

すぐに意味がないと思い考えることを放棄した。

「温かいうちに飲んでね」

「あ、すいません」

少女に「さっさと飲め」と、言外でせかされたため、チビリと飲む

————!

うわっ なんだこれ めっちゃうまい

概念がひっくり返るって、こういうことを言うんだな

「おいしいだろ、茶葉にはこだわってるんだ」

顔に出てたのか、俺の考えを読み取り少女は言う

「お茶菓子もあるけど.....いるかい?」

そういって少女はパチンと、指を鳴らす

すると、先ほどまで何もなかったテーブルの上にクッキーなどのお茶菓子が現れる

どういう原理なんだ?

————だが、この少女は人間じゃないと思わせるには十分な芸当だ

————そんなことは何より、結構「うまそうだなって?」

—————な!?心を「————読まれた、考えてるのはそんなところでしょ」

そういってどや顔を見せてくる少女、うぜぇ

―———だが、やはりこいつは人間じゃない。

―———と、なると疑問が出てくる

「—————あんたは一体何者なんだ?」

いつまでも謎に包まれているのでは信頼もできない

「僕かい? うーん....説明するのは難しいけど

 簡単にいうなら絶対普遍的存在、俗にいうかな?」

——————軽いめまいを起こしたが、我慢し質問を続ける

「じゃ、じゃあその神様が俺に何の用なんだ?」

「ふふっ すごいね君は、たいていの人が神様って聞いたら敬語になるものだけど

 自分を崩さない 我が強いっていうのかな?」

「知らねぇよ」

変なところを感心された

「————」

「? どうかしたのかな?」

「いや、神様がこんな女の子だとは思わなくてさ」

「いや、これは君が話しやすい体に変化してるだけだよ

 それともなんだい?『ふぉふぉふぉ わしこそが神様じゃ』

 とかいうひげもじゃのおっさんと九瀬君は対話したいのかい?」

「あ、いや、遠慮します」

俺にそういう趣味はない

そういう神は、「意見がちゃんといえるってすごいことだよ」とか言ってるが無視

————さて、本題に入ろう

「そんな神様が俺に何の用なんだ」

「————一言でいうと、九瀬君に、とある人を救ってもらいたいんだ」

「人?」

「うん、まぁお願いを聞くだけだから楽に終わるよ」

「————内容はわかったけど、その人はどこに居るんだ?」

「行けば分かるよ🎵」

そういって、神はお茶菓子を出した時のようにパチンと指を鳴らす

すると、またも俺の周りの世界がする

「あ? ......ぐぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

やっと、原理がわかった、あれはモノを呼び出すんじゃない

飛ばすんだ

自分がモノと認識されるのはやっぱり神様だからかな

そう思ったのもつかの間、俺の意識はまたも途切れる



ズゴン!!

着地には程遠い音が背中から聞こえてきて意識が覚醒する

「————っ!」

ゴロゴロゴロゴロゴロ

結構痛かったので、しばらくもんどりうっていたが、だいぶ落ち着いていて来た

「—————はぁ.....」

すこし、息をためてからため息をついて周りを見渡す

今度飛ばされた場所は、殺風景な部屋だった

椅子もテーブルもないのに、紙だけは落ちてるという、ある種異常な空間

はぁ..... と、二度目のため息をついた瞬間


「——————誰?」

「は?」

後ろを向くと、手帳を持った少女がいた




コツ.....コツ.....コツ.....コツ.....

—————何故でしょうね

なぜ俺は、謎の少女とチェスをしているのでしょうか

いや皆さんに聞いても意味ないとはわかってるんですよ

だってですよ!

(詳しく言えば髪色は白だが髪型ロング、身長ちょっと小さめ)の少女に

『チェス......しよう.....?』

って言われたら断れないですよ!

もう、俺のハートに五寸釘みたいな感じだ

可愛いは正義!

―—————脱線した

「.......次、君の番だよ」

「ん....あぁ」

コツ..... と、俺はまたも駒を進める

やっているのは、先ほども言ったようにチェス

二人零和有限確定情報ゲーム

最善手の読み合いであり、先手が最善手を打ち続ければ勝つ

————その為、後手はどんなに頑張っても引き分け以上にはならない

先手が圧倒的有利なのだ

と、いうのが理論上であるがそれはまず不可能である

そんなことを言ったが自分は一応先手だ

————最善手さえ打てば....と思われるだろうが

勿論俺は初心者である

どれが最善手なんてわからない

だが、それを抜きにしてもこの光景は異常だった

「.......チェック・メイト」

「—————まじかぁ......」

少女の方は、将棋でいうところの飛車角落ち

—————結構ボードゲームは得意なんだけどな

「....よわ」

「うっせぇ」

この少女、ボーとしているように見えるがかなり頭はいいようだ

————そんなことより

「ここどこ?」

少女に問いかける

この生活感が一切ない場所は一体何なのだろう

上を見ると、俺が出て来たと思われる空間———異空間がある

帰るときはここからどうぞってか

神の心遣いを、うれしく思う

話がそれた

すると、少女は話すのには慣れてないといって感じで返してくる

「........居住すぺーす」

「———居住スペース?」

そう聞くと少女は黙って顔を縦に振る

居住スペースという事はほかの場所もあるのだろうか

「.....ほかの場所?」

声に出てた

「......あるよ......いく?」

「ん じゃあ頼む」

話が終ると少女は静かに立ち上がり、てこてこと歩き出す

少女の後をついていくと大きな扉があり

俺たちが近づいただけで開く

だが、その先にあったのはまたも真っ白な廊下だった

少女の後ろをついていくこと約1分

またも真っ白な扉の前に立つ

その扉の前に少女が近づくとまたも自動で開く

「......ここ」

「うわ....」

その部屋は、さっきの部屋と同じ真っ白な壁の部屋だったが一つ違うところがある

紙の山がいくつもあるのだ

ざっと数えるだけでも100以上はある。

しかもその全てにびっしりと数学の計算式のようなものが書いてある

集団恐怖症の人が見たら一瞬で発狂しそうな光景だ

「ここどこ?」

少女に聞く

「........作業すぺーす」

一番最近書かれた紙かと思われるものを持ちながら少女は俺に言う

これが神の言うこいつのお願いなのだろうか

ならば

「この計算でなんか困ってないか」

計算の意味を知ったところで俺には到底理解できないものだろう

(例 フェルマーの最終定理)

だったら聞かずに手伝うまでだ

「.....これ」

そう言って少女は俺に先ほどから持っていた紙を渡してくる

その紙に書かれた数式は一つ『X-Y=0』

見ただけでは簡単に見えるが—————

「これの何がわからないんだ?」

「.......Xの方はわかったけど、Yがどうやっても......ならない」

―————変な言い回しをするが気にも留めず話を続ける

「じゃ、Yをどうにかすればいいんだな

 ―——————どうやるんだ?」

そう聞くと、少女は軽く目を伏せ黙った後

俺に最初から持っていた手帳を渡してくる

「......これ」

「なんだこれ?」

少女から手帳を受け取りパラパラとめくる

そこには『願い事No.241 ケーキが食べたい』『願い事No.131 動物を見たい』

のような他愛もない願い事がいくつも書いてあった

こんな一見関係なさそうなことがこの数式には関係あるのだろうか

「こんなのが今のお前に必要なのか?」

「......うん」

少女は小さく首を縦に振る

そこから俺は神が言っていたお願いとはこれなのだと確信する

「じゃあ 手伝ってやるから

 —————一つ聞くけど、この順番は何だ?」

手帳の中の願い事には一つずつNoがふられている

「.........願い事のむずかしさ」

―———難しさか、モンハンの☆みたいなものだろう

「じゃあ 難しいのからやっていこうぜ

 そっちの方が楽だろ」

この手帳に書いてある願い事はさっき見たところ全部で300

しかも全部他愛もないことなので三日もあれば終わるだろう

―————と、思っていた

「......君の名前何だっけ?」

「あれ?言ってなかった?九瀬 暦だよ」

名前最後の願い事に必要だったっけ?

―————いやな予感がするので少女に問う

「最後の願い事、覚えてたら教えて?」

すると少女は少し黙った後、俺が思っていたものとは全然違う答えを言う

「........たしかNo,10000 私と恋愛をしてくれませんか?」

「はい?」

ここから俺と少女の恋愛が始まった










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