第11話 目覚めてみるは・・・
「アーネストさーん!朝ですよー!」
そんな、自身の名を呼ぶ声により、意識というか認識が覚醒するという感じというか、まぁ、そんな感じで起きたのは良いのだが・・・視界という場所に浮かび上がっているモノに、少々悩みが入っている。
なにせ、そこには
Ernest Ernest Ernest Ernest Michael Robert
その浮かんでいる文字のうち、MichaelとRobertは、記憶にある倉庫キャラの名前につけていたものである。ならば、そのまま倉庫キャラで確定だろう。
で、他に出てくるErnestという名前が四つ。
IDで管理されている為に、名前が重複してても問題ないというVRMMOだったからか、調子にのって○○Verという感じでバージョン違いというか、目的違いで作ってはいた同名のキャラクターたちだとは推測できる。
ただし、どれがどれかが解らない。
ゲーム上であるならば、スタイル表示付の選択画面があったから見た目で一発でわかったものの、今現在は文字表記だけでしかもリング状に並んでると来てる。
どいつが1stキャラなのかがさっぱりわからない。
しかし、このまま悩んでいても仕方がない。ええい、儘よ‥‥と、右側に表示されているErnestという文字を意識すると、"Welcome"という文字が中央に表示されたと思えば、昨晩藁のベッドから眺めていた馬房の風景が視界に入ってきた。
よっし!よっしゃぁぁぁぁ!
とりあえず、スリープモードに入った前のまんまだ!
機械生命体になれたままは夢じゃなかった訳だ!!
夢でなくてよかったぁ、ほんとよかったぁ
と、軽く感動していたら、扉がガラガラと開けられ
「アーネストさ‥‥ん?えっ…?あ、あの、どちら様・・・ですか?」
「ん?アーネスト だが?」
と、この部屋の仮設扉を開けた少女が、こちらを見て驚きながら問いて来た。
それに対して、普通に答え返し…ん?あれ?声が昨日とはうって変わって普通に聞こえる。
そして、自身の名をつげるという解答を行ってみれば、なぜか静かな間が起きたかと思えば、
「ええっ!?アーネストさんって、女の人だったんですか!!」
・・・女の・・・人?はて?
と、疑問を抱きながら下へと視線を向けると、その視界にあったのはデフォルト装備となる黒いインナーっぽい状態のままでさらされている二つの大きなふくらみ。
・・・なんだ・・・これ・・・?と、触った感触はプニプニ。ふむ、この絶妙な
というか、2ndキャラだコレぇぇぇ
「しかも、すっごい美人さんじゃないですか!
それならそうと早くいってくださいよ!もぅ!」
と、プンスコとでもいう擬音が聞こえてきそうな表情でいたが
「あぁ!そうそう、朝ごはん準備できてますので、もう少しで朝食時間が過ぎますので、すぐに来てくださいね」
と、扉をピシャリと閉めると、駆け足でもするかの様に去っていった。
…えーっと、どうする?
再びスリープモードにして1stキャラに戻すか?いやそれをやって再起動する為に時間がかかるとかいう落ちがあったらまずいよな、それにこの2ndキャラは、身内のコンテスト大会用としていかに機械生命体でありながら、
覚悟が完了したところで、エネルギー補充をしていたライフルのケーブルが、このキャラにも接続されていたままな不思議現象は置いておくとして、とりあえずエネルギーが補充されたカスタム銃は共通格納にしまいこみ、この2ndキャラの専用装甲となる
グラフ的には昨日食事で増やした分の半分近くを目減りしているので、早急に摂取しないとまずいか?と、それよりも、2ndキャラでもなんか容量が共通ぽくもある。そんなこんなと思いながらも2ndキャラのまま食堂へと足を運んだ。
食堂へ向かう途中、ロビーともいえる受付の場所を通るのだが、その場所で少女と親父さんが何やら話しており、自分がそこに現れたとたん
「・・・あんた、誰だ?」
「おとーさん!アーネストさんだよ!アーネストさん!さっきも言ったでしょ!中身は美人さんだったんだよ!」
「へっ?ホントだったのか?」
と、少女の主張と共に、宿の親父は嘘だろ?という表情をしながらこちらを見定めているが・・・
「ああ、アーネストだ」
「本当かよ・・・驚いたなぁ・・・」
いや、驚いたのはこっちだよ。
こちとら全高195cm(ヒール込み)で作ったキャラなのに、すこし見上げなきゃならない大きさって・・・親父さん、あんた十分にデカいわ。
「まぁ、いい、食堂で空いている席にすわんな、朝食を準備する様に言ってくる」
そう言われ、親父さんはカウンターから奥の部屋へと消え去り、自分はと言えばそれに従う様に食堂の方へと向かう。
この宿の1Fには、食堂となっている場所があり、その食堂で空いている席へと座るのだが、あたりを見渡すも他の宿泊客が全然見かけない・・・
「アーネストさん、遅すぎですよ?
他の方はとっくに食事を終わらせて出かけてますよ?」
と、水のカップを置いてくる少女がそう答えてくれた。
えっ?本当に?と時間表示を確認すると、もう10時になろうとしていた。
というか、時間あってんの?まぁ、自動調節付きな時計らしいから大丈夫だとは思うが・・・
それより、今日はどうしようか。と、まずは
「お待たせしました、朝食メニューです」
と、見慣れない大人の女性が食事を持ってきた。
「娘のシルビィが、綺麗な人だと言っていたものですから、どんな方かと」
そういいながら、食事をテーブルへとおいてくる女性はニッコリと笑顔で答えてくる。
見た目で言えば、少女を素直に成長させ"ふくよかさ"を持たせたら、たぶんこの様な恰好になるんだろうなぁという雰囲気の女性であった。
そうなると、この宿の女将とでもいうのだろうか。
「ほんと、綺麗な肌ですね。羨ましい限りです」
とまぁ、はふぅという擬音が聞こえてきそうに、頬に手を当てていた。
そりゃ、人工物だし
「それは、どうもありがとう」
「いえいえ、今度、その秘訣教えてくださいね」
と、無難というレベルの回答をしておくと、そそくさと去っていった。
というか、その秘訣に対する答えを教えても
そこには、パンと少し焼かれたハムの上にチーズが少々溶けており、さらに野菜が入っているというスープという面々が、まさに、かかってきてみろや!という風に挑発している感じがした。
・・・
昨日の嫌な気分がよみがえる・・・今から戦いに赴かなければならないのか、しかし食料摂取でしかエネルギーが回復しないというのが、この身体の欠点としか言えない・・・
ええぃ、腹は決めてるんだ!と、一口放り込む
・・・
あれ?普通に旨い。
さらにハムとチーズを一緒に口に含むも普通に旨い。というかまんまハムとチーズの"味"がしっかりとした。
えっ?マヂ?そりゃぁ
野菜スープも普通にうまく、パンを浸して食べるも旨い。
食事って、こんなに旨いものだったんだ・・・とちょっと感動し、そして、過去の自分に拘った事に関して、グッジョブを送っておいた。
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