Going ago/Coming ago 11

日本の戦国時代において、何かと誤解を受けているような気がするのだが、

主力兵器は何だったろうか?

やはり刀?槍?それとも薙刀?斧やクワなんて変わり種もあるだろう。


しかし戦場において圧倒的に猛威を振るうダメージディーラーは、弓だ。

原始的な武器としてイメージされるものの中で、

飛び道具は圧倒的な殺傷力を誇る。

それは弓も変わらない。

もちろん、長い訓練と風を読む才能、そしてなにより強い肉体がなくては扱えない。


故に、近接武器とは比較にならない長い射程、面制圧能力、継戦能力においては、

弓はとりあえず最強と言える。

反面、矢は消耗品で尽きたら詰みであり、

近接戦闘に持ち込まれたら詰みであり、

指が滑る足元の状況の悪い暗闇の中、雨が降っても詰みである。


年単位で育成しなければならない上、

射るにも矢が必要で、

一定以上の練度がなければ役に立たないからである。


もし奇襲なんて受けた日には、総大将が討ち取られても仕方ない。

たとえ、それが東海道一の弓取りであっても。

名は体を表す。比喩も中々的を射ているのかも知れない。弓だけに。


斉射、曲射、号令、狙撃、騎射、掃射、追撃。

これだけの訓練を熟練させるにはひどく時間がかかる。もちろん相応の金もかかる。

おそらく、暗殺、ゲリラ戦に用いるなら更に3倍だ。


まあ何を言いたいのかというと。

貧乏な地方の弱小城主の所有する訓練場がそんなに立派なわけがなく。

「ボッロいな」

「これ、余計なこと言うな、事実だけども」


正月を迎えたしばらく。晴天の日。

準備を整えて弓の練習場に引き立てられた一言目がこれだった。

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