カクヨムユーザーミーティング Vol.2 感想レポート

唯希 響 - yuiki kyou -

第一部 前半 トークショー

 13時30分頃、現地に到着。少し早く着いてしまったので会場の場所だけ確認してコンビニでコーヒーを買って飲んでから再度45分頃、角川第3本社へ。

 入り口で名前を聞かれ名簿と照らし合わせ後、中の一階ロビーでしばらく待つ。

僕の他に男女1人づつ、3人でロビーで待っていると案内の担当の方が表れエレベーターに乗り会場へ。

 会議室の様な場所へ通され、入り口で今一度名前の確認。(名簿見た限り大体30名弱ぐらいの人数だったかな?)

 その後カクヨム特製ボールペン(これめっちゃ欲しかった)とチビいろはす、アンケート用紙とカドカワのチラシをもらい中へ。

 中に入るとまず今回の交流会のテーマである「カクヨムでオススメの作品」(当選メールに来るまでに考えておいてくださいと書いてあった)を入り口で使った物とおそらく同じ名簿の自分の名前の横に一人一人記入する様指示され、僕はラブコメカテゴリの「I'll have Sherbet!」と書かせていただきました。大好きです(聞いてない)。

 会場を見渡すと前回は男性の参加者の比率が多かったと聞いていたが、今回はなかなか五分五分な感じでした。ちらっと見ただけだったのでアレですけど。年齢層も実にばらけていて、結構な大人の方も沢山いた印象。

[追記……と思いましたが結構他の方のレビューを見た限り女性は結構少なかった模様、あんまり他の方やまわりをじろじろみる、という事が出来なかったので正直ここは自信があんまりないです……]


 時間になると日本一ライトノベルを売った男ことカドカワ営業の大塚さんと、カクヨム編集長萩原さんが登場。

 そうして第一部 ミニトークイベント 「作品の魅力を伝える方法 ~刺さる”ことば”の選び方~」が開始。

 「どのようにすれば作品の魅力を人に伝えられるか」というテーマについて、それぞれの仕事の具体例を交えながらお話する。というプログラムになっていました。

 まずは2人のそれぞれ自己紹介。 まぁ、ここら辺は結構みなさん知っていると思うし、調べれば出てくるので割愛。

 2人は元々同じルビー文庫でBL作品の仕事を共にしていたらしく、「特に(2人の間には)掛け算はないので!」と話して会場には笑いが起こる。


 そして本編。

 書店でどうすればお客さんに本を手にとってもらえるか、という話からスタート。

 まず書店で読者がその本を買うか否かを判断する要素は「表紙(絵)」「タイトル」そして「オビ」。

 萩原さんはこの中で非常にオビの比率が高く、一番最初に目につくのもオビの場合が多いと話し、読者は買うものが決まっていないで書店へ来た時、多くの場合、


 「オビ」が目に入って本を棚から手に取り→

 「表紙」と「タイトル」を眺め→

 そして裏返してあらすじを読んで→

 気になれば(お金を出す価値があると判断すれば)購入を決める。


 というサイクルになっていて、その中のどのセクションでも書い手はそのまま本を棚に戻してしまう可能性があるたとえば、

 「オビ」が目に入って本を棚から手に取り→オビに書いてある売り文句が琴線に触れなければまず手に取らない。

 「表紙」と「タイトル」を眺め→気に入らなければ棚に戻す。

 そして裏返してあらすじを読んで→内容に惹かれなければ棚に戻す。

 と言った具合。


 しかし、どうにか最後までそれを食い止めることができ、気になってもらえればその作品は「買われる」わけである。

 そしてこの「オビ」の役割を果たすのが、カクヨムでは「キャッチコピー」である。だからこそ、カクヨムのキャッチコピーの形は今のように目立たせるようにしたと語っていました。

 僕も実際書店に行った時を思い出すと、なるほど確かに、そういうサイクルになっていることが多いなあ、と感じました。

 そのキャッチコピーについて萩原さんは実際仕事中などに「読んだ時にキャッチコピーがすぐ浮かぶような作品が【やりたい!(担当したい、売りたい)】と感じる」と話していて、担当にとってもキャッチコピーというものはとても重要であることがよくわかった。

 そして、そのオビを作るのは本来編集の仕事なのだが、カクヨムやWeb小説場合キャッチコピーを自分で決めなければならない、つまりWeb小説家は作家と編集者の仕事を1人でやらなくてはいけないともいえる。

 それは昔書店員経験のある大塚さんも重要視していて、書店によってはPOPが立てられていて、実際に気に入った作品のPOPを書く時もそれもオビと同じような効果をねらって書いていた、と語る。


 ではまず何故そもそも「オビ」というものが必要なのか、という話しに移り、作家や担当編集が「これ面白いんですよ!」と絶賛しても読者からすれば「いやいや、そりゃあなたたちは作った本人だしそう言うのが仕事でしょ」となってしまうため、あまり効果が無い。だからこそ「書店員絶賛」などのキャッチコピーがあると、「ああ、たくさん本を知っている人が言うなら面白いかもなー」と読者が「安心して買える」ので購買意欲を上げることができる。そういう役目を担っているわけである。

 その他にも「◯◯一」や「◯◯万部突破」「PV◯◯越え」なども「読者が安心してお金を出せる」状況を作り出す要素となっている。

 大塚さんがかつての上司に言われた忘れられない一言として紹介したのが、

 【読者は書店に本を「買わない理由」を探しに来ている】という一言。

 本を棚から手に取った時、レジに持っていき「お金」と「それを読む時間」を消費するより、棚に戻す方が何倍も、何倍も簡単で、それぐらい「本を売る」ということは大変なことであることを意識すべきである。

 まず「買ってもいいかな?」という消極的な選択肢を読者に与えることが第一歩なんだ。とはなしていました。

 次はどのようにしてオビ、キャッチコピーやPOPを作っているか、2人の経験から話していただきました。

 まずその本の「何」が面白いのか、それを伝えられるようにPOPを書いている。と語るのは大塚さん。その上でいくつかテクニックがありそれを紹介していました。

 【端的に】……たとえば(賛否両論分かれるが)、『泣ける』と一言書く、など。

 【饒舌に】……これは上級テクニックだが、饒舌にオビいっぱいにびっしり文字を書くことにより逆に購買意欲を上げることができる作品もある。(あとちょっとずるいが、長々書いてもマーカー引くように文字の色を変えれば端的と饒舌、両方の恩恵をうけられる場合もある)。


 萩原さんは、先ほどの上司の言葉の変化系として、

【読者は「続きを読まない」理由を探している】という言葉もあり、読者は「期待を裏切られた時に続きを読むのやめる」なぜなら「続きものは永遠とお金と時間を払い続けなければいけないから」と語り。それを留意し本文を読む前にオビやあらすじを読んだ時点で期待を裏切らないよう気をつけているという。

 たとえばルビを読んで面白そうと思ってあらすじを読んだら「あれ?面白くなさそう」と思ってしまったりなど、オビとあらすじがかみ合わないものは買われない。逆に全く同じことを連呼してても売れない。そこのバランスをとらないと本文を読む前に読者を裏切ってしまい、「もう読まなくていいかなー」と思われてしまう。それが一番避けなければいけないことだ。と語っていました。


 その他にもタイトルについても話していて、実際に萩原さんが担当している丸戸先生のアニメ化作品「冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた」を例にどうやって決めたのか、なども話してくれました。

 これは萩原さんが考えたタイトルでライトノベル「やさしい竜の殺し方」というタイトルが元となっており、このタイトルは「殺しかた」と「やさしい」という相反する単語を並べることにより、「どういうことだ?」という引っかかりがあり、読者は気になって手に取る効果があると話し、

 それと同じように「冴えない」と「ヒロイン」という真逆とも取れる単語を並べることによって読者に「引っかかり」を残す、手に取らせて読ませる。という風に、たくさんの要素いかにして工夫するかが鍵となっている。あと冴えカノの表紙にも実はギミックが仕掛けられていて、見ればわかると思うが、タイトルで一番大きく印刷されている文字が彼女でも育てかたでもなく「冴えない」という一言がドドンと大きく描かれている。それは今までのライトノベルになかなか無かった「新しい」単語であり、それを意識してもらうためにねらってそうした。と話していた。

 あとタイトルをいろんなフォントで文字に起こしたり、それを実際声に出して読んだり、タイトルはとても重要なものなのでいろんな手を使って本当にそれでいいのか、を考えている。と語っていました。

 大塚さんは橘先生の作品「デートアライブ」を営業で売り込む際の実際の話をしてくれた。

 この作品は僕は読んだことが無いが、非常に説明しづらい作品らしく、売り込みの時もどうしようかと悩んだ。とまず話し、そこで僕は書店さんに「これはエヴァで使徒が美少女でしたっていう話です」と説明したと話して、会場のおそらく読んだことがある人の笑いが起きていた。

 でもたしかにその一文でそれは面白そうだなあと僕も感じたので、さすが営業はすごいなと感じました。


 喋り過ぎてしまったらしく、急ぎ足で次は質疑応答のパートへ。

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