木漏れ日

天津木

転入生のお話

とある田舎の中学校。

田舎と言えども結構な数の生徒が在籍している。

「おはよう、ユウ」

そんな中学で生徒会役員を務め、同時に軟式庭球部の主将を務める、笹倉優一ささくらゆういち

「おはよう、カンナ」

優一の幼馴染みで、同じく生徒会役員の守谷柑菜もりやかんな

親同士も幼馴染みであり、相当仲が良い。

「転入生の話、聞いた?」

教室に入るや否やそう声を掛けてきた小倉棗おぐらなつめ

友人の一人であり、彼も生徒会役員を務める。

「昨日先生から。

ナツは大変ねぇ」

柑菜は他人事のように笑った。

「俺は、部活も忙しいから役には立てないぞ」

優一もそう笑った。

「カンナ、お前どうせ暇だろ?

手伝えよ」

「ばぁか。

私は家の手伝いがあるから忙しいの!

暇なのアンタ位なんだからしっかりやんなさいよー」

ばしばし、と棗の背中を叩いて自分の席へと向かった。

「カンナのやつ…」

「まぁまぁ。俺も部活ない時手伝ってやるから」

肩を落とす棗の肩を叩く。

「流石だなぁ。

でもお前試合前だろ。部活ない時とか、無くねえ?」

「…あ、暴露ばれた?」

「くっそぉ…」

あからさまにがくりと肩を落とす棗を横目に席に着いた。

尚も悔しげな棗を横目にくすりと笑う。


転入生はどんな奴なんだろうか。

この海と山に囲まれた田舎で上手くやっていけるのだろうか。

都会の話を聞いてみたい。

どんな人間なのか 楽しみで仕方がなかった。


態度には出さなかったけれど。

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