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「も、う、だめ…」

「まだまだでしょ? 夜はこれからじゃない」

「ちょっと待って、今は、まだ…!」

「待てないって」

 ギシッ、とベッドが音を立てるとベッドサイドから幾つもの飲み開かした缶が床に落ちた。店でもそこそこ飲んだと言うのに、性欲が強いやつは酒も強いのだろうか。

 荒い息と水音が趣味の悪い部屋の中に響いた。冬だと言うのにこの部屋に暖房は必要ない。ギシギシと三人で使うには小さなベッドが悲鳴を上げるのと同時に、眼下の二匹の雌豚が嬌声を上げた。

 いや、違ったか。雌豚ではなく、羊と山羊だったか? 肉欲に溺れた、草食動物の皮を被った肉食雌豚ども。

「いや、あっや、やめないで」

「もっとぉ、もっとしてぇ!」

 ズンッと衝いててやると、面白いほどに胸が波打つ。バカみたいに成長した乳なんて興味もくそもない。こんな女、いままでに腐るほど抱いてきたっつーの。

「ようすけくんが、こんなだったなんて」

 髪を乱しながら、羊だか山羊だか分からない女が言った。

「草食系だと思ってたのに」

「こんな悪魔みたいな人だったなんて」

 全身で呼吸をするように雌豚どもは、早くもぐったりしたようだった。

「何休んでるんだよ、まだまだ終わらねぇよ」

 こんなんで終わりとか、ありえねぇって。すこしはビッチらしく、もっとよがってみ? 俺を喜ばせてみ?

 ニヤリと笑ってやると、疲れた顔にどこか嬉しそうな表情を浮かばせて、うっとりとした瞳を羊介に向けた。

 名前をちゃんと見てみ? 黒山羊介だぞ? 知らないのか? 黒山羊は――

「草食系なんかじゃねーっつーの。こっちの方がヤれるから演じてるだけ」

 悪魔の象徴だっつーの。

 

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