第18話 PvP、勇者と勇者の対決

 さらわれてしまった勇者はシンシアの助けで拘束を解かれた。勇者ともう一人の勇者の戦いが始まろうとしていた


「ゆうとちゃん、装備も無しでどう戦うつもりかな?」


「あれ、バトルイベントが始まると返してくれるとかないんですか?」


「無いねぇ。それじゃあさっそく一発ぅ…」


 呪文を唱えようとした真理と勇者の間に割り込みシンシアはナイフを構え直し攻撃態勢をとった


「キサラギ・マリー様…でしたか?微力ながら私もユート様に加勢させていただきます」


「何よメイドさん、その実験動物を守るつもり?でも範囲攻撃で丸ごと痺れちゃうから意味ないけど!ライニ…」


 真理が呪文を唱えるより早くシンシアの攻撃、攻撃は外したがマリーの杖を半分に切った。杖を切られた真理は舌打ちをする


「チッ!」


「今だ」


 勇者はシンシアが斬り落とした杖を拾い棒として装備した、勇者のヘビーアタック発動


「ブローク」


 勇者の攻撃は真理が唱えた魔法の障壁により緩和された、真理に8ダメージをあたえた


「痛いじゃない、よくもあたしの杖を」


「防御力強化系の魔法か」


「カン!」


 勇者は部屋にあった大釜の蓋の取っ手に棒を引っかけ奪い盾として装備した


「よし、取りあえず武装完了」


「非常時とは言え、にゃんで釜の蓋にゃ?」


 猫は不思議そうに勇者を首をかしげ勇者を見つめている


「勇者様、衛生兵の話ではまだ傷は完全には回復していません。無理をなさらず下がっていてくだ…」


 真理は呪文を唱えた、無数の雷撃が勇者達を襲う


「ライニール!」


「バチバチバチ」


 勇者はシンシアをかばい、大釜の蓋で魔法を弾いた


「!?」


「にゃんと!魔法薬調合に使う道具は安全のため魔力の暴走に耐えるよう魔力耐性があるにゃが…それを見越してか!勇者にゃん!」


「いいえ、たまたまあったから使ってるだけです」


「ちょっと!範囲攻撃をかばうなんて反則なんだけど!」


 押しのけられたシンシアが勇者の真後ろで暴れている


「勇者様、助けてくれた事には感謝しますが、邪魔だからすぐにどいてください!」


 真理は呪文を唱えた


「ライニン」


 勇者の頭上から電撃が降り注ぐ、勇者に18ダメージ


「ぐわぁ」


「ふふふ、頭上からの単体攻撃は流石にさばけないよね」


「勇者様…応急処置です!」


「バリン」


 シンシアはどこからか木製の箱を取り出し中に入っていた瓶を勇者に叩きつけた


「シンシアさん何ですかコレ・・・」


 勇者は瓶の中身の液体を頭からかぶりずぶ濡れになったが液体は直ぐに蒸発した


「支援用の投擲回復薬です」


 勇者は25回復した


「本当に何でも持ってますねシンシアさん」


 勇者のカマイタチ、真理に5ダメージ


「あーもう!さっきからあたしの工房でドタバタと」


「私の工房にゃ!」


 アマンダは真理の顔に飛びついた


「じゃまよ野良ネコ!」


「ミィ、ミィ!」


「アマンダ様、手荒な手段に及びますがお許しください!」


 シンシアのスキル発動”イケヅ斬り”相手の関節を狙った斬撃で相手の行動力を下げダメージを与える。真理に21ダメージ


「シュパシュパシュパン!」


「シンシアさん強っ!?」


「だから下がってくださいと言ってるのです勇者様」


「この…」


 勇者は真理の持ってる杖を叩き落とし


「パコン」


「これで終わりだ!」


 真理に攻撃を加えた。勇者の上段からの振り下ろし


「パシン」


 真理は勇者の棒を受け止め強く握る


「これもあたしの杖だって事忘れた?」


「しまッ!」


「勇者様!」


 真理の魔法攻撃

 

「ラガニン!」


 勇者に29ダメージ


「ぐわわわわぁ!」


 勇者は強烈な電撃を受け崩れ落ち・・・る様に見えたが


「ホイリン」


 棒をしっかり掴んだまま回復呪文を唱えた、勇者は15回復した。驚いた真理に隙ができる


「うそ!?」


「ふんっ!」


 勇者の起き上がる勢いで頭突きでヘビーアタックを放った


「ゴッ!」


 真理に10ダメージ、重い一撃により真理は昏倒した、真理はフラフラしている


「確かに魔法が使いやすくなりますね、この棒」


「やったにゃユーシャにゃん!さあ私の身体を今のうちに捕まえるにゃ」


 アマンダは猫の身体で二本脚で立ちガッツポーズをして喜んでいる


「猫がガッツポーズしてる!?」


「あら可愛い。うふふ」


 二人は猫に見とれている


「二人とも私の事は良いから早く…」


 フラフラした真理は・・・


「ふえ…ふわぁ…」


「ガバン!」


 蓋の空いた大釜に頭から突っ込み大釜ごと倒れてしまった。


「あ」


「あらま」


 それを見たアマンダは叫び声を上げる


「ギニャー!!私の身体ぎゃー!」


 勇者達は戦いに勝利した。勇者はレベル9になった、魔法を覚えた関係か今まで上がらなかった知力も上がった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る