第2話 序章

 前回のあらすじ。死んでしまった僕は女神にキャトられてしまった。その際残していった家族に色々と世話をしてくれたらしい以上。


 そして女神は本題に入りたいと切り出した


「では勇者よ、あなたの様な人種ならもうお気づきでしょうがこれから異世界に旅立ってもらいます」


「ええ、もう勇者って呼ばれちゃってますし」


「話が早くて助かります。これからその異世界にある小国、クプウルム王国に行ってその周辺のダンジョンを攻略してもらいます」


「世界を救うではなく、ダンジョンの攻略ですか?」


「正確には王国にダメージが出ないほどの魔物を弱体化です。手段は問いませんので好きに暴れてください」


「あの、簡単に言ってますが何かお決まりのサポートとかして下さるんですか?」


「私からは言語の問題を無くすためのスキルを与えます。王宮内の魔法陣に召喚されますので後はその王国が何かと良くしてくれるでしょう」


「ああ、そういう感じのヤツですか。僕そんな戦闘慣れしてる訳じゃないんですが」


「そこは安心してください勇者よ」


 女神はニッコリと笑った


「今から行く世界は神に祝福された世界です。あなたの世界のRPGで言うところのレベルやジョブ存在し戦闘で敵を倒すと神の祝福が得られ祝福が一定量を超えると身体能力の向上やスキルの習得ができます。つまりレベルアップですね」


「それって、その世界の人間なら誰でも使ってるって事ですか?」


「はい、あなただけの特別な能力ではありません。ですが単純作業を永遠とこなすのは得意でしょう?直ぐに強くなれますよ。ある程度レベルが溜まったら大聖堂に行ってください。そこで上位のジョブへと転職できますから」


「それじゃ強くなる前にモンスターにやられるんじゃ・・・」


 女神は口元だけで笑ってみせた


「戦わなければ王国と一緒に貴方も滅ぶことになります。ね、単純でしょ勇者さま」


 また死んでもいいから取りあえず戦えって事なんだろうか、まったく


「どうして僕が選ばれたんだ・・・」


「ああ、それはですね。国を救ってくれって召喚の儀が行われた時にですね、よっぽど切羽詰まってたのか色々端折った略式の儀式だったんですよ。主に貢物とか」


 なんか暗い顔する女神


「う?うん?」


 少し混乱した僕の事は気にせず、女神は気怠そうな感じでこう続けた


「それで。あー、この不敬な奴らにどう対応してやろうかと考えた時に丁度いいのが・・・と思いましてあなたを」


「適当に選んだんですか!?」


「適当ではありません、あちらの誠意に対して妥当な選択をしたまでです。さあ勇者よ出発の時間です」


「え、ちょっと」


「バチバチバチ!」


 女神は怒りの混じった表情で指から電撃の様な物を、ある宇宙映画の帝国のボスの様な感じで放ちゲートを開ける


「さあ勇者よ、世界の危機とか何とか困ると直ぐ神に頼より、直ぐ助けてくれると思ってる愚かな連中に目に物見せてやってください!!」


 僕はそれに成す統べなく吸い込まれようとしていた時、ある疑問が頭をよぎった


「あの女神さま・・・僕の名前ってなんでしたっけ?」


「ん?ああ、好きに名乗ってください。これから新たな人生が始まるんですから!」


 好きに名乗れと言われても。名前ないと困るし何か王道RPGらしくひらがな4つで収まる名前を・・・


「勇者だから”ゆうと”かな・・・」


 そして僕の冒険は始まった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る