電車に乗ったらそこは異世界だった

伊藤那由多

第一話 最終電車

私は自分の母校が出る野球の試合を見るために、電車を乗り継いで県外まで出かけた。今はその帰りで、これが最後の乗り換えだ。時刻表を確認する。最終電車は23時05分なので、まだそれまでには10分ある。


駅の待合室で英語の単語帳を読みながら時間をつぶし、しばらくしてから改札へと向かう。


普段使っている6か月定期で改札を出て、階段を上る。階段を上った先にはホームがある。ホームを出た瞬間、私は奇妙な驚きと違和感とを同時に感じた。


車両の色がおかしい。こんな色の車両は今までに見たことがない。その不気味な緑色はどこか不安を感じさせる。何だこの車両は。私は混乱している。


私は一度落ち着いて、その車両をもう一度ゆっくり見ることにした。座席の色は紫だが、それ以外は普段通りだ。内装もそれほど変わっていない。色が奇妙なだけだ。


自分が知らない間にこの車両が塗りなおされたのだろう。一体この鉄道会社は何をしたいのかわからない。そんなことを思いながら、中身が変わっていないならと、いつものように、電車内に入る。


座席に座って車両の中を見渡してみる。座席の配置は、いつもと同じようだ。特におかしい点は見当たらない。私は安心した。


そんな安心もつかの間、反対側を見ると、私はまた不気味な感覚に襲われたのだ。

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