変人学校の斎藤くん
さいとうカフェイン
第1話 高校デビュー!!①
地味……その言葉が一番俺に似合う言葉だ。
俺―――
友達がいない。ていうか、中学校時代は誰とも喋っていないのだ。
こういうことがあり得るだろうか? そう思うだろう。しかし、そのあり得ない出来事に遭遇した体験者が俺である。
なぜ、そうなったか。
俺は小学校卒業までは兵庫県の神戸市に住んでいた。その頃は友達も多くはないけれど、多少はいた。しかし、父の仕事の関係で東京に引っ越すことになり、東京の中学校に通うことになった。
中学校の入学式は緊張しかなかった。慣れない土地に慣れない環境、これ以上に語る言葉はいるだろうか?
単純に嫌だった。でも、これから始まる学校生活のためにも、友達は必要だと感じ、俺は全く知らないクラスメイトに話しかけることにした。
おとなしそうな子に話しかけようとしたのだが、その子を前にすると喋りかけることが出来なかった。自分でも驚くほどのコミュ障だと理解した。
それから相手から喋りかけられても、答えれない。あまりの恥ずかしさに逃げてしまったこともある。
先生に「これの答えが分かるか? 斎藤」と授業で当てられたときも、俺は回答を分かっていたのに、無言を貫き通してしまう。
しまいには、同級生も教師も、俺に喋り掛けることがなくなった。
そして3年の月日が流れ、結果、誰とも喋らずに中学時代を過ごしたという訳だ。青春も恋愛もすべて俺には何一つなかった。
もう、この過ちを繰り返してはいけない! 高校では必ず友達も恋人も手にすると決めた。
○●○
決意を胸に秘め、俺は校門の前に立っていた。
この学校は寮制で否が応にも、俺は人と関わることになる。要するに自分に対して厳しい環境に身を置くことで、コミュ障を解消しようという算段だ。ここで俺は中学時代に味わえなかった。学生としての楽しさを謳歌するのだ。
ダメだ……ニヤニヤがとまらん。これから待ち望んでいた楽しい高校生活はもう目の前なんだから!
俺は愛用の手鏡で身だしなみをチェックする。アニメの知識からどういうヤツが人気者になるか、勉強してきた。髪の毛は少し遊ばせて、制服は少し、だらしなさを残しつつも、しっかり着る。もう完璧! これで俺は人気者だぜ。
「ひゃっほーーい」と校内に足を踏み入れた。
ルンルン気分で歩いていたら
「あははは、あははは」と突然の笑い声が聞こえてきた。声のする方を見ると、俺は目をパチクリさせていた。
笑い声の主は同級生と思われる男子だった。普通の男子高校生なら別に何も思わないよ……ただ…ねぇ、そいつが全裸でスキップしてたらどうするよ?
今、俺の眼前には、その全裸野郎がスキップしてるんだ!! リアルだよー。幻じゃないよー
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