セルムーン

はいむまいむ

序章

選ばれし者には光を。悪しきものには闇を。

選ばれし者には命を。悪しきものには裁きを。


時はグレイゴロス紀1800年。世界は八つの大国に分裂して、それぞれで争いを繰り広げていた。その中でも、群を抜いて強かった国が二つある。

べスタート王国とアルカラ帝国だ。


元々この二つの国は、べスタート王国だった。しかし、同盟国のアルム王国との関係をめぐる考えで対立し、国家は分裂してしまったのだ。アルム王国と協調路線で行く人達はべスタート王国。アルム王国に不信感を抱いている人達はアルカラ帝国へと進んでいった。

この二つの国の対立は、他のどの国よりも激しく争いは何百年と続いた。

今でも続くその戦いは、この二つの国境線上にある町の名で戦いの激戦区となっているセルムーンの名をとり、セルムーン戦争と呼ばれている。

この終わりのないように思えたセルムーン戦争だったが、ある出来事をきっかけにして争いは収束していったのだ。


それこそ、魔王復活であった。


元々、この八つの国がある大陸は魔王の支配下で、魔物達が人間を支配し一つの大帝国として存在していた。しかし、その隷属的な支配に対して人間たちは着実に疑問を広げていった。なぜ、我々は魔物に支配されなければいけないのか? なぜ、我々は隷属的な支配を受けなければいけないのか?

それらの思想がやがて反魔物思想という名前が付けられ、人間たちの裏の間で広く学ばれることになった。

そのことに気づいた魔物達は、さらに人間への支配を強化し、生活環境や支配方法は劣悪なものに変わっていった。

そして、人間たちは今までにはなかった意味のない処刑や、見世物により殺害が魔物たちによって行われるようになった。


それに対し、ついに人間たちは立ち上がったのだ。


怒りを持った、人間たちが。魔物達に裁きを与えるために、魔物達に正義の光を当て消し去るために七人の人間、現在で言う七人の勇者が立ち上がった。


最初のうちは圧倒的に人間は劣勢で、人間たちの間にもこのまま魔物達に全員殺されてしまうのではないかという危機感まであった。

しかし、ある出来事をきっかけに人間たちはその圧倒的なまでの劣勢を覆すことが出来たのだ。

七人の勇者は魔物達の支配から逃げ出し、魔物達に小さな攻撃を仕掛けていたが致命的には程遠い攻撃しかできなかった。そして、その攻撃に対して魔物達はもてる限りの力のすべてを使い七人の勇者を攻撃した。

七人の勇者はその攻撃から逃げ、ある街へと流れついた。その街で、彼らはあるものと出会うのだった。

それこそが、正義神セルとの出会いだった。


正義神セルは七人の勇者たちに対して、魔王を倒すための道具と魔王を倒す方法を授けた。そして、魔王を倒したとき、平和が訪れると伝え、セルは消えていった。


消えていくと同時に、空を覆い尽くしていた灰色の雲は消え、さんさんと照り付ける太陽と青く輝く青空が出てきたのだった。

人間たちは、その光景に感動し我々にはできる。この支配から脱却できると心の底から思い、各地で大規模な反乱がおきることになった。


そして、七人の勇者はその反乱によって解放された町を通りながら魔王城へと進撃し、魔王城で魔王と対峙し魔王を倒し、人間界と魔界を結ぶところを封印し、人間たちはついに自由を得たのだった。


人々は、魔界を封印した場所つまりは魔王城のあった場所を正義が示された場所を正義審の名前と太陽つまりは光に照らされる物の名前の二つを合わせて、セルムーンと名付けたのだ。


そして、そのセルムーンで戦いが起きていたのだが、そこで攻撃の際封印されていた場所を攻撃してしまい、いつの間にか人間界と魔界が再度結ばれてしまったのだった。そして、魔界からは魔王の命を受け魔物達が人間界を再度支配するために進軍してきたのだった。


これに対してべスタート王国とアルカラ帝国はそれぞれ軍を出撃させたが、連戦連敗で、人々の間にも平和の終わりの空気が流れ始めてしまった。

それを止めるべく、この二つの国はそれぞれ勇者の末裔を探し出し、セルムーンへと向かわせることにしたのだ。

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