第19話 その《星》の名は……。③
「まったく。こんな時に彼らはどこに行ったのでしょう」
月明かりがわずかに差し込む暗い森の中。
愛機・《ステラ》の操縦席にて、リーゼはそう嘆息した。
「分かりません。ですが時間もありませんし、文句は後にしましょう」
と、リーゼの腰を掴んで後ろに座るメルティアが言う。
今から十五分ほど前のこと。アイリ捜索を手伝ってもらうため、リーゼ達はコウタ達の元を訪ねたのだが、何故か彼らのコテージは空だったのだ。
一体こんな夜中に、コウタ達はどこに行ったのか。
当然二人は疑問に思ったが、今は時間が無い。
メルティア達は、自分達だけでアイリの跡を追うことにしたのである。
「しかし、恒力値で位置を探るなんて考えましたわね。メルティア」
と、リーゼが《万天図》に目をやりつつ、後ろの少女に告げる。
メルティアの鎧は鎧機兵の一種。
その機動には《星導石》を利用している。アイリがあの鎧を使用しているのなら、恒力値を探れば簡単に見つけ出せるはずだった。
『この時間帯に鎧機兵を動かすような人間もいないでしょうし、あの鎧の恒力値は六百ジン程度。特定は簡単なはずです』
そう語ったメルティアの推測通り、アイリの――正確には鎧の居場所はあっさりと見つかった。どうやら最初に出会った湖辺りにいるようだ。
かくして二人は《ステラ》に乗り、森の中を進んでいるのだ。
「見た所、鎧はさっきから動いていませんわ」
リーゼは再び《万天図》にちらりと目をやった。
「目的は湖のようですわね。アイリはあの湖になんの用があるのかしら?」
と、独白するリーゼに、
「それは聞いてみないと分かりません。とにかく今は急ぎましょう」
メルティアが、焦りを孕んだ声で告げる。
「ええ。分かっていますわ。しっかり掴まって――えっ?」
不意に唖然とした声を上げるリーゼ。
メルティアは眉根を寄せた。
「どうかしましたか? リーゼ?」
「い、いえ、いきなり恒力値が他にも発生したのですわ。ええっと、六千四百ジンと五千八百ジンですか。多分……これは《ディノス》と《グランジャ》ですわね」
リーゼの言葉にメルティアは目を見開いた。
「コウタとオルバンさんですか? 彼らはアイリと共にいるのですか?」
「恐らくそうですわ。けど、すぐ傍にもう一つ反応があって、そちらの方は――」
そこでリーゼは一瞬言葉を失った。
「……は? えっ? な、何ですの!? これは!?」
「リーゼ? 一体何が……」
全身まで硬直させるリーゼに、メルティアは困惑した。
腰を掴む腕を介して、彼女の動揺がはっきり伝わって来る。
「こ、恒力値、三万六千六百……」
「……え?」
かすれた声で呟くリーゼに、メルティアは瞳を瞬かせた。
「恒力値・三万六千六百ジンの機体が、彼らの前に現れましたの……」
「さ、三万六千……?」
メルティアも唖然とした。
が、すぐにハッとして正気に戻る。
「な、何なのですか! その馬鹿げた恒力値は!」
と、声を荒らげた後、眉根を寄せて、
「リーゼ、何かの間違いなのでは……? 事実ならば《七星》クラスの機体です」
「……少なくともわたくしの見間違いではありませんわ。確かに恒力値は三万六千六百ジンを記しています」
「…………」
メルティアは沈黙した。
ますますもって状況が分からない。ただ焦燥だけが胸を灼く。
「リーゼ! 嫌な予感がします! 急いで下さい!」
ともあれ、異常事態であることには違いない。今は急ぐのみだ。
「ええ、了解ですわ! 急ぎますわよ! メルティア!」
同様に焦りを抱くリーゼもそう応じる。
そして白銀の機体はさらに加速し、森の中を疾走した。
◆
『……《九妖星》、だと?』
牛頭の鎧機兵を見据え、ジェイクが呻く。
『コウタ、お前さん知ってっか?』
『……うん。知っているよ』
愛機・《ディノス》に処刑刀を身構えさせ、コウタが答える。
『確か《黒陽社》の最高幹部にして最強の戦士に与えられる称号だよ。噂だと《七星》にさえ匹敵する怪物達だって故郷で聞いたことがある』
コウタの説明にジェイクは渋面を浮かべた。
『……要するにこいつは《七星》クラスの敵なのかよ』
正直、最悪の展開だった。単純な恒力値を比較しても《ディノス》と《グランジャ》の二機を合わせてなお三倍の差があるのだ。
『ふん。今さら尻込みするのは情けないぞ。少年達』
対するラゴウは実に余裕だった。
その顔には、皮肉気な笑みを浮かべている。
『相手が強かろうが犯罪者から逃げる騎士などいないのだろう?』
『……立ち聞きとは趣味が悪いね』
ラゴウの意趣返しに、コウタは不愉快そうに眉をしかめた。
だが、アイリに告げたその言葉を偽りにする気はない。
二本角と竜頭の手甲を持つ、赤と黒で彩られた鎧機兵・《ディノス》。そして左半身に外套を纏う褐色の重装型鎧機兵・《グランジャ》がゆっくりと間合いを測る。
対する牛頭の鎧機兵――《金妖星》は斧槍を肩に担ぎ、悠然と佇んでいた。
『ふむ。趣味が悪いか。だが黒髪の少年。趣味に関してはヌシも中々のものだぞ』
言って、《ディノス》の姿をまじまじと見やる《金妖星》。
『かの《悪竜》を彷彿させる機体。その美しくも禍々しい姿には感嘆さえ覚えたぞ。正直な話、しばし見惚れてしまったほどだ』
ラゴウが所属する《黒陽社》はただの犯罪組織ではない。
『欲望こそが人の真理』を教義に、かつて主たる《夜の女神》を己が欲望のために裏切った聖者――《黒陽》を信奉する宗教団体でもあるのだ。
そんな彼らの神である《黒陽》と《悪竜》の間には深い関わりがあった。
神話の時代、女神を裏切った《黒陽》は《悪竜》に共感し、味方したのである。
魔竜と堕ちた聖者。一頭と一人で世界に戦いを挑んだ者達。
言わば《悪竜》とは、彼らの神の盟友なのである。
その魔竜を模した機体となれば、ラゴウが興味を抱くのも当然だった。
『……別にお前に褒められたくはないよ』
しかし、コウタにしてみれば不快なだけだった。
『この機体はボクの大切な人が、「最強」を望むボクのために造ってくれたモノだ。お前達のように《悪竜》や《黒陽》を信奉している訳じゃない』
そう告げるコウタに、ラゴウは興味深そうに目を細めた。
『……ほう。少年は「最強」を望んでいるのか。確かに《悪竜》は《夜の女神》さえ凌ぐ最強の存在。その威容にあやかった訳か……』
そこで、ふっと口角を崩す。
『しかし、あやかるだけでは意味がないぞ。その実力、《悪竜》の姿を借りるに相応しいものか吾輩が試してやろう』
そう言って、ラゴウの乗る《金妖星》が一歩ずつ歩き始めた。
コウタ達は緊張する。いよいよ戦闘開始だ。
『――コウタ!』
『うん!』
最初に動いたのはコウタの方だった。
竜装の機体が地を強く蹴って間合いを詰めると、袈裟切りに大剣を振り下ろす!
対する《金妖星》は斧槍の柄で、刀身を受け止めた。
『……ほう!』
この竜装の機体の恒力値はわずか六千四百ジン程度。しかし、《金妖星》の五分の一以下の出力とは思えない重い一撃に、ラゴウは感嘆の声をもらした。
その上、魔竜を象った鎧機兵は、まるで流れるような所作で横薙ぎ、刺突と連撃を繰り出して来る。どれも初手に劣らぬ相当な重さだ。
(ほほう。これは意外にも掘り出し物か)
片手で斧槍を操りながら、愛機の中でラゴウはほくそ笑む。
この敵機の操手はまだ十四、五歳のはず。そんな若さでここまで鎧機兵を操れる者はラゴウの知る中でも《七星》の最年少者である第七座ぐらいだ。
(ふふっ、伊達に《悪竜》の姿を借りた訳でもないということか)
と、ラゴウが微かな笑みを浮かべている間も《ディノス》の猛攻は続く。
――ガキンッッ!
と、黒い斬撃が走る。
ビリビリ、と斧槍の柄が震えた。わずかずつだが威力も上がっている。
『――ぬん!』
と、ラゴウが唸り、《金妖星》が斧槍を横薙ぎに振るった。
轟音を立てる一撃だったが、《ディノス》は後方に跳躍して回避する。
『――ふっ!』
そして斧槍をやり過ごした後、再び間合いを詰める《ディノス》。
跳び込みざまに逆袈裟切りを繰り出したが、それはあっさりと防がれる。
ガンッと大剣を払い、《ディノス》は後ろに跳んで間合いを取り直す。
五倍の出力差は、技量だけで埋められるものではない。
コウタはヒット&ウェイを徹底していた。
『ふん。戦術的には間違っていないが、それだけで吾輩を崩すことは出来んぞ』
そう挑発するラゴウに、
『分かっているさ。そろそろ本番だよ!』
コウタがそう叫び、《ディノス》は地面を蹴りつけた。
同時に響く雷音。今度はただの跳躍ではない。《雷歩》による加速だった。
『ほほう! やはり闘技も使えるのか!』
だが、ラゴウは一切焦らず、笑みを深める。
そして突進のタイミングに合わせて斧槍を振るう――が、
『――ほう!』
ラゴウは目を瞠った。
直前で竜装の鎧機兵が地面を強く蹴りつけ、真横に軌道を変えたのだ。
《ディノス》は瞬く間に斧槍の間合いから外れた――その直後、
『……むッ!』
白い布のようなものが《金妖星》の右腕に絡みついた。
今まで隙を探っていた《グランジャ》の白い外套だ。
伸縮性のある特殊な鋼糸で編み込んだ外套は、鎖の如く《金妖星》を拘束した。
『よっしゃあ!』
ジェイクが裂帛の気勢を上げる。
同時に褐色の鎧機兵が力比べをするように、ズシンと地面に足を打ちつけた。
『中々面白い技を使うではないか、緑の髪の少年。しかし、この《金妖星》を拘束できるとでも思っているのか?』
『へっ! それでも数秒ぐらいなら持たあ! コウタ! 今だ!』
『うん! 分かった!』
そう応え、《ディノス》が大剣を肩に乗せて身構える。
この一瞬の隙に、斬り込むつもり――。
『その構えはブラフだな。本命は外套の下に隠した砲撃か。違うかね少年達よ』
『『――なッ!』』
戦術を読まれ、コウタ達は息を呑んだ。
ジェイクの愛機・《グランジャ》の動きがピタリと止まる。
狙いを定めようとしていた砲身型の左腕も同じくだ。
『砂漠でもない場所で鎧機兵が外套を纏うのは、大抵何かを隠しているものだ。戦術としては定番すぎたな少年達よ』
ラゴウが皮肉気にそう告げるのと同時に、《金妖星》はグンと右腕を動かした。
途端、引き寄せられるように《グランジャ》が軽々と宙に浮いた。
その先には、左手に斧槍を持ち直した《金妖星》が待ち構えている。
『う、うおおお――ッ!?』
『ジェ、ジェイク!』
少年達が慌てるがもう遅い。
巨大な斧槍は《グランジャ》を容赦なく打ちつける。
ただし、斧の刃ではなく斧の腹でだ。
ビキビキッ、と装甲に亀裂を入れ、《グランジャ》は森の方まで弾き飛ばされ、木に叩きつけられた。ズズンと轟音を立てて地に伏せる褐色の鎧機兵。
ジェイクの愛機は完全に脱力して沈黙した。
コウタの顔から一気に血の気が引く。
この機体の反応はまずい――。
『ジェイク!』
友人の身を案じ、思わず名を叫ぶと、
『……ぐ、オ、オレっちのことはいい……に、逃げろ、コウタ……勝ち目はねえ。アイリを連れて逃げ、るんだ……』
ピクリとも動かない機体から、そんな声が上がった。
どうやら機体は半ば大破したが、ジェイク自身は無事らしい。
ホッと安堵するコウタ。
――しかし。
『ふふっ、吾輩には《星読み》がある。逃げても無駄なのは分かるだろう?』
ズシン、と地を踏みしめ、《金妖星》が近付いてくる。
コウタは、ギリと歯を軋ませた。
ジェイクはもう戦えない。気絶してしまったのか、声も聞こえなくなった。
グッと操縦棍を握りしめる。
(……こいつ相手に一人で挑むのか)
考えただけで喉が鳴る。途方もない困難だ。
かと言って、みすみすアイリを差し出すつもりもない。
(……ボクがやるしかないんだ)
コウタの意志を感じ取り、《ディノス》は黒い大剣を身構えた。
『ほう。この状況でも戦意は衰えないか。だが、時間も押している。もう少し付き合ってやりたい所だが、そろそろ本気で行かせてもらうぞ』
ラゴウはそう告げ、ふっと笑った。
その直後、雷音が響く。《金妖星》が初めて自ら加速したのだ。
息を呑むコウタの前で斧槍が振り下ろされる!
咄嗟に、《雷歩》で横に回避する《ディノス》だった――が、
――ズズゥン……。
凄まじい威力に大地が鳴動する。
斧槍の刃は地面に巨大な亀裂を生みだしていた。
直撃すれば、重装型の鎧機兵でも容易く両断される威力だ。
『――くッ!』
やはり膂力が違いすぎる。文字通りの桁違いだ。
コウタは冷たい汗を流した――その時だった。
『コウタ!』『コウタさま!』
聞き慣れた少女達の声が耳に届く。
コウタはギョッとした。
続けて、森の中から長剣と盾を構えた白銀色の鎧機兵が飛び出してくる。
リーゼの愛機・《ステラ》の姿だ。
『リ、リーゼさん!? それにその声、メルも!?』
コウタは青ざめる。何故ここに彼女達が……。
しかし、それを尋ねる前に《ステラ》は《雷歩》を使い、加速した。
半ば大破している《グランジャ》の姿を見れば、戦闘中なのは明らかだ。
リーゼは敵に状況を把握されるより早く一撃を加えるつもりだった。
まさに問答無用で《金妖星》の頭部に長剣を振り下ろす――が、
『ふむ。伏兵がいたのか』
しかし、ラゴウは慌てず柄で刀身を簡単に受け止め、
『だが、黒髪の少年より腕は落ちるようだな。面白味もなさそうだ。折角出てきてくれた所すまないが早々と退場願おうか』
そう呟くと、尾の先端の大蛇がゆらりと動いた。
そして長剣を押さえられた《ステラ》の前に移動し、大きくアギトを開く。
コウタは背筋に悪寒が走った。
『まずい! リーゼ! 跳ぶんだ!』
『――クッ!』
怒号にも等しいコウタの指示に、反射的に盾を構え、後方に跳ぶ《ステラ》。
その直後、凄まじい衝撃が白銀色の機体を揺らした。
大蛇のアギトから放たれた恒力の塊。《穿風》の一種だ。
『きゃあああ!』『くあああっ!』
白銀色の機体の中から響く少女達の悲鳴。
不可視の激流は防御した盾ごと《ステラ》を呑み込み、時間を巻き戻すように機体を森の奥へと吹き飛ばした。
『メル! リーゼ!』
コウタは愕然とした表情を浮かべ、急ぎ彼女達の安否を確認しようとするが、
『おっと少年。心配するのは結構だが、隙は見せるべきではないぞ』
――ゴウッ!
轟音を立て繰り出された石突きの刺突に、愛機の肩を打ちつけられた。
機体全体が揺らぐような衝撃を受けた《ディノス》は押しやられ、ガリガリッと両足で地面を削った後、片膝をついた。
『――くそッ!』
『ほう。咄嗟に急所を外したか』
ラゴウは感心したように目を細め、そう呟く。
コウタは、眼前で悠然と佇む《金妖星》を睨みつけた。
歯を剥き出し、ギシリと軋ませる。
このままだと奪われる。
アイリを。
友人達を。
そしてメルティアを。
あの『炎の日』のように奪われる。
(――嫌だ! 二度と奪われてたまるか!)
コウタは、静かに唇を噛みしめる。
二度と奪わせない。
そのための力が、この《ディノス》だった。
「……《ディノス》」
コウタは愛機に語りかける。
「お前は最強の鎧機兵だ。何者にも屈しない最強の《悪竜》なんだ」
メルティアがそう願い、コウタのために造ってくれた機体だ。
――そう。《ディノス》は最強の鎧機兵なのだ。
「だから」
ググッと操縦棍を握りしめ、コウタは叫ぶ!
「だから、その最強たる証をここに見せてみろ! 《ディノ=バロウス》!!」
主人の命に竜装の鎧機兵は迅速に応えた。
突如、大剣を投げ捨てると、ズズンと両手を地につけ、獣のように構えた。
その直後、竜頭を象った手甲の両眼が赤く輝き始める。
そして頭部の双眸も赤々と光り始めた。
『……ほう。まだ何かする気なのか』
その様子に、ラゴウは興味が引かれた。
まるで見世物でも見物する面持ちでいるラゴウだったが、わずか数秒後、
『お、おおおッ! なんと! これはもしや!』
徐々に変貌していく眼前の光景に、大きく目を見開いた。
続けて自機の《万天図》にも目をやり確認する。
『おお……この圧倒的な恒力値。それに加え、禍々しき発光現象。間違いない。あの第三座が使う《真紅の鬼》と同じ原理か……』
と、思わず感嘆の声を上げるラゴウ。
目の前で起きている現象と同じものを、ラゴウは噂で知っていた。
まさか、あれと同じ現象をこんな場所で拝めようとは――。
『ふ、ふははは! これは流石に驚いたぞ少年! よもやあの《七星》の第三座以外にもこんな狂気じみた真似をする者がいようとはな!』
ラゴウが実に楽しげに哄笑を上げる。
眼前の敵機。竜装の鎧機兵・《ディノ=バロウス》は今、全身から淡い真紅色の輝きを放っていた。漆黒だった鎧まで赤く染まっている。
両腕の竜頭に仕込まれた二つのC級の《星導石》を起動させ、合計三つの《星導石》を共鳴させることで膨大な恒力を発生させる。
――これが、《
メルティアが欠陥ありと呼んだ機能だった。
その最大の欠陥は発生する恒力の量だ。
設計当初では、恒力値は多くても三万ジン程度のはずだった。
しかし、メルティアが考案し造り出した
結果、使用すると機体の方が恒力値に耐え切れなくなり、全身が赤熱化してしまうようになった。すなわち、赤く染まった《ディノ=バロウス》とは全身が赤熱発光している極めて危険な状態なのである。
莫大な恒力は機体強度にも負荷をかける。
恐らく二、三分ほどで自壊してもおかしくないだろう。
だが、どんな危険な状態であろうと、今のコウタには関係なかった。
自分から大切な人を奪う者は、絶対に許さない。
それだけは断じて許容できない。
『……行くぞ。《ディノ=バロウス》』
と、宣言するコウタに、
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――ッ!!
咆哮で応じる《ディノ=バロウス》。
恒力値・七万二千ジン。
自身の身体さえ灼く煉獄の力を解放し――。
荒ぶる魔竜が牙を剥いた。
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