北國-全ては組織論のなかに-
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第1話 序章
私は東西南北の連邦の一つ北国を掌握している領主である。帝国を統括する皇帝とその下に直属の補弼機関や補佐官がいるものの、実際の統治とそのための活動は各連邦の長とその下の各種機関によって統治されている。
当然、法律についても全帝国に適応させる皇帝法があるものの、統治に直接関する法律や連邦計画、予算などの政策はかく連邦が具体化させているのが現状である。その理由は明快である。一つは、4つの連邦があるがその地域ごとで、文化や歴史、風土、言語が異なり皇帝一つだけでは管理しきれないからである。2つ目に、また連邦ごと主な政策課題が異なるからである。
東国は、工業都市である。帝国全土の人々が使う日用雑貨から、魔法道具、軍事用具など様々なものが日々生産されている。東国の連邦長はナーシという人物だ。一癖もふた癖もある人物で、女性問題が絶えない。したがって、彼のことを「俗物」あるいは「俗人」と呼ぶものが多い。かく言う私もその一人だ。
南国は、文化芸術の都である。連邦長はワーベ先生だ。「先生」と付けているのは、私が、公職員養成学校(通称「テクノクラート養成学校」)に入ったときの恩師の1人だからである。
そして、西国である。西国は食の都である。帝国の全ての食べ物は西国で生産されている。そして、私は養成学校を卒業し、はじめに派遣された地が西国であった。
その際、私を西国の地に引き連れてくださった方が、現西国連邦長バリュー先生だった。養成学校時代は、バリュー先生の御指導の元、私は論文を書き、官制学の基礎を学んだ。ちなみに、官制学とは、非常に幅が広い、官僚組織や政策運営についてはもちろんのこと軍事、そして経済についてもその範疇としている。
そして、私の管轄する連邦が「北国」である。当連邦の大きな使命は、「砦」の役割である。「荒野」とよばれる周辺地域から帝国に対する侵略の砦を築くことである。そのため、北国は軍事、諜報を得意とする組織であり、多くの軍人、諜報部隊、軍事、諜報を支える科学者を抱えている。
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