第33話 ~引っ張り合い~

 壁まで追い詰めたので今度は武器を奪おう。

「ビリニュス!」

「はい!」

 私は気づかなかったがビリニュスを含む四人の執事とメイドは先輩の凍結を破壊しようと叩いたり蹴ったりしていた。

「これを持っててくれ!」

 私は武器をビリニュスに向かって投げた。

「わわっ!」

 ビリニュスはうまく受け取れず、落としそうになったが落とさずに持つことができた。

「武器を捨てるとはどうするつもりだ。まさか素手で戦うのか?」

「そうだ」

 私は両手で力強く斧を掴んだ。

「離せ!」

「嫌だね」

 私とミンスクによる斧の奪い合いが始まった!

「こんっの! 離せ!」

 このままではいつまで経っても

 私は両腕を左右に力強く振った。

 案の定、斧と一緒にミンスクも振子のごとく左右に振られている。

 それでも離そうとしない。しつこいな。こうなったら。

 私は一度武器から右手を離した。

 そして。

 ドガッ

 右拳をおみまいした。

「こんっの!」

 怒ったミンスクがこのまま襲い掛かろうとするが私に掴まえられている為、無理だった。

 私も必死で武器を奪おうとしているがかなり苦戦している。

 早くしないと先輩が!

 こうなると斧を奪いやすいような状況を作らなければいけない。

 何か方法は…………そうだ!

 あの方法なら奴の動きを止める事はできないが力を弱める事はできるかもしれない!

「桃音ちゃん!」

 私は桃音ちゃんを呼ぶとこっちを見た。

「さっきの技、もう一度やって!」

「!」

 ミンスクが逃げ出しそうになったが逃がさないように斧で抑えた。

「ジョーカ!」

 ミンスクの体が再び大量のハートに包まれる。

「くっ……力が!」

 ミンスクの力が弱まっていく。

 やった! 思った通りだ!

 浄化は敵の力を弱める事もできる!

 

 

 

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