第22話 ~幼い頃からの憧れ~

「一緒に暮らす事になって色々話を聞いて驚いちゃったよ。日本語で話すから日本から来たのはわかったけど、理由がまさかの海外逃亡だったから何か悪い事でもしたんじゃないかと最初は思ったよ」

 まぁ『椿姫に逆らった』という事では執事界にとって悪い事だろうな。

「でも話を聞いているうちに『人間にとって悪い事をしている組織から逃げて来た』ってわかったからアタシも協力する事にしたんだ」

「へぇ~。よく協力しようと思ったね。私は最初は嫌だったよ」

「だって……それって……」


「『変身して戦う女の子』そのものじゃない!」


「あ~……」

 やっぱりそういうの好きなんだね。さっきの決め台詞みたいのといい。

「アタシ変身して戦う女の子にずっと憧れていたの! 『アタシも変身して悪いヤツと戦う事ができたらな~』って思っていたからティラナの話を聞いてすぐに協力する事にしたよ! 『これで私も特撮やアニメで戦う女の子達の仲間入りだ!』って……は!」

 桃音ちゃんが突然何かに気付いた。

「ご、ゴメン……喋り過ぎちゃった」

「い、いいよ」

 桃音ちゃん、すごい輝いた顔で喋っていたな。よほど憧れていたのかがわかる。

「で、どう? 蟲の浄化は」

「大変だけどずっと憧れていた事だから頑張ってやっているよ」

「『大変』ってあの浄化技の事?」

「き、聞いたの!?」

「オレが教えたんだ」

 ティラナが代わりに答えてくれた。

「そ、そっか。隠れようとした所で朱火ちゃんとビリニュスに会って気絶したから……」

「今更だと思うけど、驚かせてゴメン」

「いいの。朱火ちゃんは悪くないから気にしないで。でも……」

 桃音ちゃんは私の目の前で手を合わせて頭を下げてきた。

「アタシがオタクだって事は黙っていて! お願い!」

「わ、わかった。黙っておくよ。それに言いふらすつもりないし」

「ほ、ホント! ありがとう!」 

「!」

 桃音ちゃんは私に抱きついてきた。そんなに嬉しかったか?

「ねぇ! 学科は違うけど学校と学年は同じだから一緒に協力して蟲達を浄化して行こうよ!」

「いいよ。一緒に頑張ろう!」

 私と桃音ちゃんは握手をした。

「オレ達も!」

「よろしく!」

 ビリニュスとティラナも握手をした。

「でももう一人欲しいかな。一緒に浄化に協力してくれる人。できれば学年も学科も違う人。そうしたら蟲にとり憑かれている生徒や先生達を助ける事ができるのに」

「安心して。ピッタリの人がいるから」

「えぇ! 思いつきで言ったのに!」

 今日は土曜だから月曜の朝に言うか。

 協力してくれるかどうかはわからないけど。

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