第13話 ~ファンクラブ~

 あの戦いから一夜明け、私とビリニュスは学校の最寄り駅で電車を降りて登校していた。

「朱火さん疲れていません?」

「大丈夫だ。昨日の戦いは椿姫ほどでは無かったからな。浄化もしていないし」

「強いですね」

「当たり前だ。あのくらいの喧嘩で疲れているようじゃあ『喧嘩女王』なんて名乗れないからな」

 それに久々に強いヤツと喧嘩できて内心、嬉しかったしな。

「朱火ちゃんおはよう!」

「ああ、おはよう」

 横から操ちゃんがあいさつしてきた。

「朱火ちゃんていつもこの時間に登校してくるの?」

「まあね。大体この時間帯かな」

「私もなんだ! これから一緒に登校できるね」

「操ちゃんは徒歩で登校してるの?」

「うん。学校から結構近いから」

「自転車は使わないの?」

「使いたいけどこの辺人通り多くて使いにくいんだよ。朱火ちゃんはどうして徒歩なの?」

「私は電車通学だから」

「なるほどね~。電車通多いからな~ここの生徒」

 などと話していると校門の前まできた。

 副会長は……いた。

「巫女十様がいるよ! ほら挨拶しないと!」

 操ちゃんが前に出た

「おはようございます! 副会長!」

「おはよう。元気がいいわね」

「はい!」

 憧れの人に挨拶できるのだから元気がいいのだろう。

 私も目の前を通るので挨拶した。

「おはよーございます」

「おはよう朱火。眠そうね」

「ええ。朝ですから」

「授業中に寝ないようにね」

「わかりました」

 そう言って先に待っていた操ちゃんの所へ行った。

「ごめん待たせて」

「朱火ちゃん……」

「?」

「やっぱりスゴイよ!」

 何がだ?

「あの巫女十様と親しく会話できるなんて!」

「親しい? そんな感じだった?」

「そうだよ! ……朱火ちゃん聞いて」

 な、何だ突然改まって。


「貴方を『后巫女十様ファンクラブ』幹部に任命します」


 何だって!?

「い、いや遠慮しておくよ」

「何を言っているの! とても名誉な事だよ!」

 操ちゃんにとってはね!

「昨日帰って考えたの。朱火ちゃんを幹部にするか。でも初めて知った子をいきなり幹部にするのはどうかと思っていたの」

 そんな事考えていたのか。

「だから最初は会員としてしばらくしてから幹部にしようと思っていたの」

 あ、入る事は確定だったのか。

「でもさっきの親しい会話を聞いて決めた! 貴方を幹部として任命します。おめでとう」

 嬉しくない!

 でも友達の頼みだ。きいてあげよう。

「……ありがとう。頑張るよ」

「では教室へ急ごう! 朱火幹部!」

 頼むから大声で言わないでくれ! 周りに聞える!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る