第14話 ~勧誘~

「朱火幹部。今クラスでは国際科に転入してきたハーフ転校生の話で盛り上がっている」

「そうみたいだね」

 教室に着き、鞄の中から教科書を取り出した後、操ちゃんの机に来た。

「そこで貴方にはハーフ転校生をファンクラブに入れるよう勧誘してきてほしい」

「な、何で!?」

「巫女十様の素晴らしさを世界にも知らせる為にも日本語が話せる外国人の力が必要なの」

「操ちゃんは行かないの?」

「わ、私は……会長だから忙しいのだ」

 ? 何だか答えが詰まったぞ。

「……ビリニュス」

「はい」

 小さい声で隣にいるビリニュスを呼んだ。

「今、どうして答えが詰まったのか知りたい」

「わかりました」

 ビリニュスは操ちゃんの後ろに立ち、両肩に手を置いた。

「とにかく、ちゃんと勧誘してきてね!」

「あのさ……副会長」

「『巫女十様!』。ファンクラブなら下の名前で『様』をつけて呼ぶ事!」

 なんと言う注文だ。

 昨日私はその『巫女十様』と喧嘩したんだぞ。

「えっと、巫女十様は世界で有名な会社の次期社長になる人だから将来有名になると思うよ」

「よく勉強してきた。確かにそうね」

 だったら勧誘しなくてもいいって事だよね!

「だからこそ今からでも広めていこうと思う。良いアドバイスだった朱火幹部」

 逆効果だった。

「朱火さん。わかりましたよ」

 ビリニュスが戻ってきた。

「……どうだった?」

「どうやら操さんは『人見知り』みたいです」

「えぇ! 私の時は話しかけてきたじゃないか」

「きっと巫女十さんの事を聞きたかったからこそ勇気を振り絞って話しかけてきたと思います」

 何だよそれ。

「さっきから表情を変えてどうしたの?」

「え!?」

 操ちゃんが話しかけてきた。まずい!

「い、いや別に」

「?」

 何とか誤魔化せた。

 しかし、操ちゃんが人見知りだったとは意外だ。

 だからと言って私一人で行くのはなぁ……そうだ!

「操ちゃんも一緒に誘いに行こう!」

「わ、私も!?」

「会長自ら誘いに行った方が相手も入りたい気持ちが高まると思うよ」

 い、勢いで言ってしまった。

「……わかったわ。今日の放課後は空いているし」

 良かった。私一人で行っても何て言えばいいかわからなかったし丁度いい。

「じゃあ今日の放課後、国際科の一年A組に勧誘しに行こう。今日が駄目でもめげずに通い続けるよ」

 う、嘘だろ……。

 

 

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