第11話 ~副会長の作戦~

「喧嘩だって体と心を鍛えられますよ」

「体は鍛えられても心は鍛えられないわ!」

「そうですか?」

「そうよ!」

「とにかく! 私は武道をやった事が無いので戦いのルールなんて一つしか知りませんよ」

「『膝をついたら負け』かしら」

「よく知っていますね。なので何されても『卑怯』なんて言えないのですよ」

「なるほど。わかったわ」

 納得してくれたみたいだ。

「では続けましょう」

「……ええ」

 ……そういえばビリニュスは何をしているんだ?

 今気付いたが私と副会長は戦っているうちに生徒会室から五メートルくらい離れた場所にいた。

 生徒会室の方を見ると、ザグレブがビリニュスを捕まえていた。

 応戦させないようにする為か。

「執事が捕まっているのを見ても助けに行かないの?」

「私一人でも十分ですよ。もともとタイマン勝負のつもりでしたから」

 私は再び構え、副会長へ走って行った。

 副会長もこっちに向かって走って来た。

 私が三叉槍を振りかざすと今度は右足の膝のあたりで受け止めた。

「ザグレブ! お願い!」

 応戦するのか!?

「ああ!」

 くるか!

「……?」

 ザグレブの方を見るとビリニュスを離して生徒会室へ向かっていった。

「ま、待て!」

 ビリニュスも生徒会室に入って行った。

「応戦させないでどうするつもりだ?」

「決まっているじゃない、復讐よ。貴方達の介入でちょっと予定は狂ったけど」

「?」

 全然わからない。

「最初は私がするつもりだったけど。まぁ、いいわ。ザグレブがやってくれるのなら」

「ま、まさか。私を生徒会室から離す為に戦ったのですか?」

「そうよ。後はザグレブがリラの記憶を読み取って追放できるようなネタを見つけたら復讐完了よ」

 クソ! はめられた!

 ビリニュスも同じ執事だから私よりも早く感づいて追いかけたんだ!

 私は武器を離そうとした。

「逃がさない!」

「ぐ!」

 武器が副会長の膝の裏で挟まれた!

 これじゃ抜けない!

「手で捕まえると貴方の力で離されてしまうから足で捕まえたわ」

 膝のあたりで止めてきたのはこの為だったのか!?

 武器を捨てて戦う事もできるがこの状態でやると敵に武器に渡してしまう事になる!

 頼むビリニュス! どうか止めてくれ!

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