第41話 ~作戦~
「私を浄化する?」
「ああ。私は蟲を浄化するのが仕事だ。蟲をつくり出している大本が見つかったのだからそれを浄化するのは当然だろ」
「……なるほど。一ついい事を教えてやろう」
椿姫が一歩右足を一歩下げた。どうするつもりだ?
「そういう事は相手の実力を考えて言え!」
椿姫は一瞬で消えたと思ったら私の目の前に現れ、蹴りを入れようとしてきた!
私はすかさず蹴りを入れてきた右足を掴み、そのままハンマー投げのごとく一回転して勢いよく放した。
軽かったせいか、二メートルほど飛んでいった。
すると武器が一緒に飛ばされそうになった。
掴んで見てみると、あの雷のロープが巻きついていた。
いつの間に!
椿姫は歩きながらこっちに向かってくる。
「これでお前は逃げられない。どこへ逃げてもそのロープをつたって行けばお前の元に来る事ができるからな。言っておくがそのロープは外せない」
「わざわざこんな事しなくても私は逃げたりしない!」
「その余裕もいつまで続くだろうな」
いつまでもこんな事をしていたら浄化できない! 何とかして浄化をする態勢を整えないと!
このままの状況でやると逃げられてしまう。
せめて椿姫を押さえつけたりして拘束できればいいが、私がやると浄化しにくい。
誰か他の奴に……そうか!
私は最初に蟲を浄化した時を思い出した。
ビリニュスだ! ビリニュスが椿姫を押さえて私が浄化すればいい。
しかし、ビリニュスは協力してくれるのか?
ビリニュスにとって椿姫は上司。さらにアイツの性格を考えると押さえつける事なんてとてもできないんじゃ……。
「どうした? 戦闘の最中に長い考え事はどうかと思うぞ」
「……悪いな」
「まぁ、どんな物か興味があるから待ってやる。それがどんなに愚かな行為であろうがな」
もう考えている時間は無い!
もう一度椿姫を遠くに飛ばしてビリニュスを探す!
「来い! 椿姫!」
「考えはまとまったか? 見せてもらおう!」
椿姫はさっきと同じように一瞬で私の目の前に現れた。
今度は私の右腕を掴んできた。
「油断したか?」
「わざと掴ませただけだ」
「なっ、ぐわっ!」
椿姫が驚いている途中で私は左拳で椿姫の頬を殴った。
捕まえられた手の力が弱まった瞬間、右手の拳で椿姫の腹を思いっきり殴った。
「ぐっ! げほっ、げほっ」
思い切り殴ったので咳き込んでいた。これでしばらくは動けない。
私はビリニュスが休んでいる所へ駆けつけた。
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