第35話 ~蟲と特殊な蟲~

 な、何て力だ!

 巨大蟲は私達以外にも公園の木の葉もものすごい勢いで吸い込んでいる。

 それは落ちている葉はもちろん、木にたくさん茂っている葉も含めて吸い込んでいる。このままだと全部無くなってしまうんじゃないか?

「あ、朱火さん! 変身してください!」

 私もだがビリニュスも飛ばされないように必死に立っている。

「わかった!」

 私はメイドに変身し、蟲を倒しに向かった。

 まずはコイツを倒さないと!

「ほう、いきなり蟲に立ち向かうとは。命知らずもいいところだ」

 椿姫が何か言っているが気にしている暇は無い。

 私は二メートルくらいジャンプし、三叉槍を構えて蟲の後ろを切りつけようとした。

 前からだとさすがに気付かれる。

 蟲は気付いていない。チャンスだ!

 私は縦に蟲を切りつけた。

 ぐおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん

 ものすごく野太い悲鳴が響いた。

 どうやら効いたみたいだ。

 巨大蟲は吸い込む力を失い、大人しくなった。

 私は再び三叉槍を巨大蟲に向けた。

 くらえ!

 ピシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 今まで見た事が無いような白くて大きい稲妻が巨大蟲に直撃した。

 巨大蟲は跡形も無く消えていた。

「……」

 椿姫は黙っている。

「どうした? まさか倒されるとは思っていなかったから何も言えないのか?」

 一応聞いてみた。

「ふん。このような事など想定内だ。元々あの蟲は貴様の力がどれほどの物なのか確かめる為に出したような物でもある」

「確かめる? まるでここからが本番みたいなしゃべり方だな」

「そうだ。お前達の処刑はここからだ」

 ブーン

 椿姫にハエのような黒い何かが飛んで来た。

「つ、椿姫様! それは!?」

「ふ、調べていたか」

「どういう事だ?」

「朱火さん……それは衣装に憑いていた特殊な蟲です!」

「あれが!?」

「椿姫様の所に来たという事は、まさか……椿姫様が?」

「どういう事だ?」

「……あの蟲を調べると誰かが命令しないと働かない蟲だとわかりました。椿姫様が命令したのですか?」

「言っただろ、蟲は私がつくり出した物だと。特にこの蟲は私のお気に入りでな特技があるんだ」

 椿姫は右手の親指と人差し指で蟲を捕まえると握り潰した。

「「!!」」

 私達は潰した事に驚いたのではない。

 潰した蟲の体から淡いピンク色の小さな宝石のような物が出てきたのだ!

「ほう、この色は初恋寸前だな」

「!?」

 何なのだ? あの宝石は!

「四宝朱火。お前の恋心、いただくぞ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る