第23話 ~葛葉~

「鈴蘭は葛葉って奴に言われて結婚に賛成しているんだろ」

「そのようですね」

「だったらソイツが結婚に反対したら鈴蘭の気持ちもかわるんじゃないか?」

「反対って、どうやってするのですか?」

「う~ん……」

 さすがに思いつかない。

 本人に直接伝えても断る事は目に見えている。

「とにかくそいつの家に行ってみよう! ビリニュス! さっき鈴蘭から読み取った事から葛葉の事について何かなかった?」

「えぇっと……! そういえば『今日も部活頑張っているかな?』と読み取りました!」

「よし! 学校に行こう」

 私とビリニュスは若宮家を出て、鈴蘭が通う学校へ向かった。

 私立のお金持ちの学校なので高い校門をジャンプして入った。

「部活という事はグラウンドや体育館を調べてみましょう」

「そうだな。今日は天気もいいしグラウンドから探してみようか」

 グラウンドは校門から近い場所にあったのですぐに見つけられた。

 行ってみるとサッカーをしている少年達がいた。サッカー部か?

「よし! 集まれ!」

 監督らしき中年の男が少年達に声を掛けた。

「次の大会のレギュラーを発表する」

 メンバー発表か。という事は名前が聞けるな。

 監督は次々と名前を呼んで言った。

 そして。

「月詠葛葉(つくよみ くずは)」

 やった! 葛葉を見つけたぞ!

「やりましたね。ところで一体どこにいるのでしょう?」

「そうなんだよな」

 名前呼ばれて返事をしているわけでもないのでどれが葛葉かわからない。

「ところで朱火さん。さっき月詠っていいましたよね」

「それがどうかした?」

「何だか聞いた事ありませんか?」

「そうか?」

 初めて聞いたような気がするが……」

「あ! 発表が終わって練習に戻っていきますよ」

 見てみると選手全員がグラウンドへ戻って練習を再開していた。

「……一体どれが葛葉なんだ?」

「近づいてみましょう」

 ビリニュスに言われグラウンドの方へ近づいた。

 すると。

「葛葉!」

 ボールがある少年の方へまわっていった。

「あいつか!」

「行ってみましょう!」

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