第2話 ~初日から遅刻~
『現在、台風の影響により電車が遅れております。本日電車が遅れておりまして誠に申し訳ありません』
駅に着いてからというもの電車はホームに来ておらず、代わりに同じ内容の放送が響き渡っている。
もう何回目だ? 三回は聞いた気がする。
今日は高校生活の記念すべき第一日目を私、四宝朱火(しほう あけび)は二日前の入学式から楽しみにしていた。
高校生活は中学とはまた違った楽しみがある、と何度か聞くと誰だって楽しみになるだろう。
距離的に電車で通う事になり、内心少し大人になった感じがしていた。
しかし、それがまさか授業初日に電車通学の短所な部分出くわしてにしてしまうとは。
ホームに吹く風が私の黒のセミロングの髪をなびかせる。
「一体何時になったら来るんだ?」
思わず口に出してしまった。
自分でも少し驚いたが車両名と時間が表示されている電光掲示板と、その近くにある針時計を見たら仕方がないと思った。
「まずいな」
私が乗る普通列車の出発時間は七時三十分で、八時に学校の最寄り駅に着く。
駅から学校までは歩いて遅くとも八時二十分に着く。入学式の日に歩いて計算したので間違いない。
八時半から朝礼が始まるっていうのに七時二十分になってもホームに電車が来る気配が無い。そうなると遅刻するという可能性のカウントダウンが既に始まっているという事になる。
これ以上待たされると確実に遅刻確定だ。初日から遅刻は一生忘れられない思い出になる。
『ご乗車になられるお客様。現在台風の影響によりまして一部の電車が運休とさせて頂いております。ご利用になられるお客様、誠に申し訳ありません』
またしても良くない情報が流れてきた。
遅れときて今度は運休!? これじゃ欠席なる可能性も増えたということになる。
初日から欠席って……何だか恥ずかしい!
事情を知っていればいいが、何も知らない人が聞けばどう思うだろう。
「楽しみにしすぎて熱を出しちゃったとか?」なんて思われてもおかしくない。
小中学校では何度か皆勤賞を貰った事がある私が健康自慢でもある私が高校生活初日から欠席。
冗談じゃない!
それ以外の日なら別に良かったがタイミングが悪かった。
その時だった。
『遅れておりました普通電車、まもなく到着致します。ご乗車なされるお客様はそのままホームにてお待ちください』
ホッと溜息をつき、時計を見たら七時四十五分だった。
「やっと来る」
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