第21話 から揚げ…そんなに好きか?


「迎えに来るって言ったのに…来ないって言われた~」

 日曜日の深夜12時を回った頃…正確には月曜日だ。

 うん…仕事…超薄給でも行かなきゃなんだけど…。

「今…N市だよね?」

「うん」

 2つ離れた市からの遠回しの迎えに来いコール…。

「迎え行こうか?」

「……高速使わないと間に合わない……」

 高速指定だ…まぁ使わないと夜が明けるよね…。

 どしゃぶりの深夜…トラックしか走ってねぇ…なんだろう…俺、なにやってんだろ?

 数時間後には出社時間だってのに…。


「ありがとう…助かったよ…アイツ(女友達)突然来れないって言うんだよ…」

「うん…なんか解る…時間が時間だしね…」

「いや…桜雪ちゃんがね~いや~イライラしてたから…迎えに来るか来ないかハッキリしてよって思ってたね~」

(えっ…まさかのイラついてた…迎えにきたのに…)

 なんだろう…この往復…。

「あのね~どっかで軽くなんか食べてく?」

 と言いながら…なぜバターロールを差し出すんだろう?

「田舎の高速なんだからね…こんな時間にパーキングエリアやってないんだよ」

「降りてからコンビニ行く」

「うん…まぁいいけど…」

「あのさ~コレ返したいんだよ」

 まさかのDVD…アダルトDVD…。

「AV好きだよね」

「この人が好きなの」

(お気に入りのAV女優がいるんだ…)

 目的地、手前のインターで降りて下道で帰る。

「ローソン行く…一緒に入る」

(支払いは俺だな…欲しいもの無いけど…)

「すいませ~ん…コレっていつ発売しましたか?」

 なんかスィーツ指さしながら店員さんに聞いている。

「なんか食べたことあるような気がするんだよね~…10月?じゃあ食べてるな、良かった~」

(なんだそりゃ…)

「から揚げ10%OFFだって♪食べる?」

「いや…あんまり…」

「じゃあ…半分こしよ、すいませんレッドホットと~から揚げくんを~…」

「えっ?いやから揚げばっかだよ…同じモノだよ」

「ん?じゃあレッドホット2個」

(もうなんでもいいや…結局2個買うんだね…同じものを)

「どこで食べる?」

「いや…運転ながら食べるよ」

「アタシ、タバコ吸いたい」

「うん…次のコンビニだな…過ぎると峠だから…次もローソンだけど…」

「そういえばそうだね~アハハハ」

「コレ食べて待ってて」

 レッドホットチキン1個…半分って…言ったよね…。


「服濡れた~」

「うん…どしゃ降りだもん」


「ありがとね…助かったよ…会社休んじゃダメだよ」

(うん…もう寝てる時間がねぇ)


翌日…。

 やっぱり…バイトするか~この給料じゃ家のローン払えない…。

 メールで彼女に

「俺…深夜、コンビニでバイトすることにしたよ」

「そうなの…逢えなくなるね…寂しいよ」

「時間は作るよ…足掻いてみるよ…転職も含めてね…」

「……足かく?ってなに?」

「あがく…だね」

「どうゆう意味?」

「抜け出そうと必死で頑張るってことかな」

「……悪い意味じゃなければ応援するよ」

(うん…解ってねぇ…)

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