鴉
闇の波に石を投げる
波紋は拡がったのだろうか
闇の波に石を投げた
真っ暗で何も見えない
音すらよくわからない
水に落ちたのかどうなのか
よくわからない
石があったのかどうなのか
本当はそれすらよくわからない
闇の波に石を投げる
自分のしていることが
いや
自分すら闇の中でよくわからない
いるのかいないのか
とりあえず
爪を立てる
孤独と呼ぶにはあまりに軽薄な闇に
爪を立てる赤い血が多分
闇から流れ落ちる
温かさが多分
手を伝っている
空がこんなに近いのに
自分がいるのかすらここでは見えない
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