四話 舞花の初めての戦い(2)



「では、やってみます。七海ちゃんよろしくです!」

「りょーかい舞花!じゃあ行くよ!」

そう言っって七海は近くの石を拾って一角ウサギ目掛けて投げた。別に投擲スキルを持っているわけではないので、ダメージは無いが、気を引くのを目的にしているため、命中率を除けば問題が無い。

見事当たった一角ウサギは、案の定、仲間を引き連れてこちらに向かって突撃してきた。こいつらの攻撃と呼べるような攻撃は角を使った突進のみなので避けようと思えば避ける事は簡単なのだが、戦闘初心者の舞花は、そうはいかないので、盾しか使えない七海と組ませて、どのぐらい戦えるのか。


そんな事考えているうちに、七海が前に立ち盾を構え、舞花さんはメニューウィンドウの詠唱リストらしきものを開いて準備をしていた。ちなみに、シンクロにはそんな機能はなかった。よく見ると、この世界の魔法の本の写本ぽかった。すべて日本語になっていたけどね。


「舞花、良いよ!準備できた!」

「はい、行きます!よろしくお願いします!『地を照らす光よ 我に従い 敵を撃て シャインアロー』」

“ヒュン”と空気を切る音を立てて、2本の光の矢は、自動車位の速さで飛んでいった。なんで空を切る音するんだろう。そこまで早く無いのに。


そんな俺の考えなどお構いなしに一角ウサギ目掛けて飛んでいった。

ウサギは小さいやつ二匹と大きなやつがいて、小さいやつはすばしこくて避けられてしまったが、大きい方は、気付かずに魔法に撃ち抜かれて毛皮を赤く染めて一撃で仕留める事ができた

小さい方のウサギはそのままの勢いでジャンプして、突撃を敢行した。

さっきより殺意がこもって見えるのは、絶対に見間違いじゃ無いと思う。まあ、そもそもがウサギだから怖く無いけど。

七海さんはパリングらしき感じで、ウサギが突撃してくるのに合わせて盾を出した。“ガキィン”という金属音(角は金属では無いはずだが)を出して弾いた。その時僕は七海の右手に何か、光の塊があるのに気がついた。考える暇も無く答えが出てきた。

七海は右手を突き出した。

「ノーマルショット」

七海がそう言うと、光の塊はピンポン玉位の大きさのものに4つに分裂して、ウサギ目掛けて飛んでいった。ちなみに今回は無音だった。しかもすごく早く、電車並みの速さは出てるんじゃ無いだろうか。もう訳が分からないよ。


七海の弾は、外れる事無く、しっかり命中した。しかし、当たりどころが悪かった。ウサギを仕留めるのを目標にして、頭を狙ってくれたのは良いのだが、一つ忘れていた事がある。そう、これはゲームでは無く現実なので血が出るのだ。首から上が七海の攻撃によって吹き飛ばされたウサギを見て舞花は当然失神して、倒れてしまった。僕も吐きそうになってしまった。七海は‥どこかへ走って行ってしまった。僕と同じ感じになっていたと思うけど、まあここから先は言わずともわかるだろう。

なぜか浅賀だけは平気そうな顔でたっていた。

釈然としない‥

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