二話 異世界のこれまで



「まず最初に言っておこう。倒して欲しいのは魔王ではなく、一国の王だ。 今は魔王と言っても過言ではないがな。」

僕は倒す相手が魔王ではなく王様であることに驚いたが、口には出さなかった。恐らく、先生がこれから話してくれることにあるだろうし、いちいち聞いていたら、時間がなくなりそうだったので、大人しく聞くことにした。

「ことの発端は200年前、自らを神と名乗る、ガナリウスという一人の男が現れ、 その王——名はタルステアというのだが——と契約を結んだ。その契約の中身は、王の一番の側近ですら知らされていなかった。当時は、タルステアは、国民に対してとても献身的な王だったので、“きっと良いものに違いない”と、誰も疑わなっかった。今となってはきちんと調べるべきだったと反省しておる。なにせ、その契約は、この世界全てを破壊し尽くす事で、タルステアを、新しい世界の神にするという、全人類を皆殺しにし、自分だけ助かろうとする、とてつもない契約じゃった。それに気付いたのは、僅か3年前のことじゃった。タルステアは、自分の契約が露見したのに気付いたのだろう。捕えようと思い、部屋に行ったらもぬけの殻だった。現在、タルステアは、魔人や魔物を引き連れて、新たな国を作り、自称神とともに力を溜め込んでいる。こちらも、黙って殺られるつもりはないので、兵力増加をはかっているが戦力が足りない。そこで我らがたどり着いたのが、勇者召喚だった。というわけだ。質問があればしてくれ。これからしてもらいたい事は、マルチケースの中に入っている。それに、みながやっているVRゲームのようにしておいたから、ゲームのようにスキルも取れるし、ステータスウィンドウも、開けるようにしてある。これを踏まえて何かしつもんはあるかな?」


一時間ほどの質疑応答があったが、いろいろな質問があって、ごちゃごちゃなので、要約させてもらうと、こういうことらしい。

・この世界は魔人達の国を含め、3つの国から成っているらしい

・この世界には、僕達のクラスだけではなく、学年全体が転移しているらしい

・この世界の人間は寿命が大体300年あるらしい

この他にも、いろいろな質問があったのだが、特に覚えるべきことはなかった為忘れてしまった。


僕達は、突然のことに戸惑いながらも、先生からおしえてもらった事を試してみることにした。

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