星術士は挫けない?
青葉。
第1話 佐渡舞夜、星術士を目指す訳。
「…えー次は終点、星ヶ丘ー星ヶ丘ー。
どなた様もお忘れ物のないようお気をつけ下さいー。」
もうじき、か。
時刻は午後2時ぴったり。掛けてたブランケットを肩から回収し、鞄に仕舞い込む。
私が見た時は真っ暗なトンネルの中で、とても退屈で曲を聴きながら寝ていたが、今の景色はもう一面桜の花弁が散ってて綺麗だった。
私、佐渡舞夜は今年からピカピカの高校一年生だ。
星術士という職業に就くため、それ専門の高校へ入学する事になった。
しかし、未来を変えるという事はやってはならないのだ。それを許すと全てを許さなくてはならないから。
結構花形な職業だが、当然道は険しく、突破率は低いが、それでも私は星術士を目指した。
理由は私の家族について知りたかったからだ。
私は生まれてこの方ずっと施設で育った。
親という物を知らず、ずっと1人で育ってきた。
最初も施設から通える普通の高校に行こうと考えてたけど、ある先生に今の高校の紹介をされた。
私の夢を知っていた先生は、「学力の問題もないし、星術士になりたいんだったらここだ!」と言ってくれた。
が、そこに行くとなると、まずは何処か居候させてくれる家を探さねばならない。
どうしようかと悩んで取り敢えず施設の人に話したら、いい下宿先を教えてくれた。
しかも、私の為に、と今までお金を振り込んでくれた人がいたらしく、その通帳までくれた。
もし、私が星術士になりたいと言ったら、このお金を渡して欲しいとの事だったと。
お陰で高校入学金なども払え、その残りで新たな小物や服などを買えた。
施設にいるとどうしても無駄遣いできず買えなかったのでとても嬉しかった。
下宿先の家も家具などはあるから心配しなくていいと。
おばあちゃんが経営しているカフェらしく、出来れば休日などに手伝ってもらえればそれていいと言ってくれた。
とても有難かった。
それと同時に何故私に協力してくれる人がこんなにいるのか。
私の3つ上の人も別の遠い高校に行きたかったらしいが、施設からじゃ入学金などを払えず、下宿先も見つからず、結果、近くの高校へ進学したと聞いた。
なのに、何故私だけこんなに上手くトントンと事が進むのか?実は何か裏でもあるのでは?と変に勘ぐってしまう。
施設の人に聞ても、私の日頃の行いがいいからとあやふや。
その言い方では別の人は日頃の行いが悪いみたいではないか。やはり裏があるのでは?
気になってしつこくせがむと、仕方なしという感じで教えてくれた。
丁度よく下宿先が見つかった事も、ぴったり入学金や制服代などのお金が振り込まれた事も、全て。
全ては、私の父のお陰であった。と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます