第12話脅し

 城に戻ると謁見の間の扉が閉まっていた。なんでも普段は閉まっていて、今日来た時は緊急時で報告のために開け放っていたらしい。


「只今、帰還致しました」


「うむ。其方は下がるが良い」


「はっ」


 騎士長が退室し、部屋には近衛兵と王と俺だけだ。


「さて、今回はお前に賞品を与えるために呼んだわけだが…。まずは褒美だ何が欲しい?」


「褒美は、この国に貸しひとつで良いです」


「ほう…」


「意外ですか?」


「まあな。褒美といえば金を求めるのが普通だからな」


「今は金には困ってませんから」


「まあ良い。さて本題だ賞品はやる。だから、騎士団に入れ」


「賞品は貰いますが…。騎士団に入るつもりはありませんね」


「なるほど…。この者を不敬罪で拘束せよ!!」


『は!!』


 やっぱりそう来たか…。


「じゃあ賞品は持って帰りますね?」


 俺は玉座の隣にある賞品に向かって歩く。近衛が俺に攻撃してくるが…。


『うわっ!!』


 俺に触れた瞬間弾かれる。以前、兵達が言っていたバリアを再現したものだ。これを反射バリアと命名しよう。


 衛兵も謁見の間に入って来るが、俺に攻撃を仕掛けても無駄なので遠巻きにして俺を囲む。


「お前達は間違えた。何もせず賞品を渡せば、俺は何もしなかったのに…」


 そして賞品を手にした俺が謁見の間から出た。そのまま廊下を歩いて城門を出ようとした時…。


「待って!」


 呼び止められたので振り返ると、がいた。


 金髪碧眼でしかも巨乳だ。歳は俺と同じ位だろう。フリルが沢山付いた白いドレスを着ている。


「何だ?」


 かなり動揺しつつも何とか返事を返せた俺を誰か褒めて欲しい。


「先ほどは父が失礼しました。お久しぶりです」


そう言いながら彼女は突然泣きだした。


「なっ何故泣く!?」


 久しぶり!?何のことだ!?


「私の名前はエリス・ラステリカ・フィール。サイト様…。やっと…。やっと会えました」


 エリス!?ラステリカって…王族!?


「お、大きくなったな(主に胸が)」


「はい。あれから11年…。お友達もいなくて寂しかったです…」


「そうか…」


「この国から出て行かれるのですか?」


 国王と揉めた以上、この国にはいない方がいいだろう。まあ害は無いんだが…。


「ああ」


「そんな…」


「お前の父親に言っておけ。俺は1人で世界をどうとでも出来る。次に何かした場合はこの城を破壊すると」


こうして国王に釘を刺す。


「…はい」


悲しそうなエリスにドキドキしながら…


「それとエリス」


俺は声を優しくして…


「はい」


「俺は明日から魔法学校に編入する。会いたくなったら来ると良い」


 そして返事を聞かず、俺は宿に戻って行った。

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