タマゴ/目覚め

 ふわりと何かが目の前で舞っている。

 それは小さいが、眩いほどに輝いている。そして……楽しそうに笑っている。


「ふふふ」


 軽やかに笑いながらその光はくるくる回った。


「楽しみ。ふふふ」


 う、うるせぇ……。


「ごめんなさい……でも、楽しみで……」


 わかった。わかったから今は眠らせてくれ、頼むよ。


「ふふ、わかりました。ではまた、明日会いましょう?」


 光はゆっくりと消えていった。

 それは、スズムシの羽音が急に聞こえなくなったような感覚に似ていた。

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