友達/2/間

 残された平和島と日代は、太陽の背中を見つめていた。


「あいつ落ち着きねぇなぁ」


 日代は紅茶を飲む。


「ふふ……蓮ちゃん嬉しそうだね」

「だからそう呼ぶなって……」

「ねぇ。ノクターンがセレナーデに教えた名前ってなぁに?」


 平和島はケーキを食べた。

 少しの沈黙が訪れたが、平和島のセレナが日代の相棒を見つけると、その沈黙はすぐに姿を消した。


「あれ……どうしたの、セレナ?」


 セレナは瞳に涙を浮かべながら、日代の相棒ノクトを見つめている。


「蓮ちゃんの相棒が気になるの?」


 平和島の言葉を聞いて、セレナは何度も頷きながらノクトを指を差す。


「ノクト……」


 日代が口を開く。


「え……?」

「こいつはノクトだ」


 ノクトは日代の肩から降りて、セレナの前で片膝を付く。


「それと……ノクターンが教えた名前はセレナーデしか知らない。彼ら以外は知っちゃいけないんだ。それがセレナーデ姫とノクターン卿との約束だからな」


 セレナはノクトを抱きしめた。

 その二人の様子を、平和島は優しく見守る。


「そう……だよね。二人だけの名前だもんね」

「だから、あの二人以外は知らなくていいんだ」

「うん……ねぇ蓮ちゃん」

「だから……」


 日代はため息をついた。


「もう一回、あの話を聞きたいな。セレナーデ姫とノクターン卿のお話」

「……今回だけだからな」


 日代は紅茶を口に運んで、昔話をまた平和島に語り始める。

 一人の悲しい姫が、心優しい騎士と出会い、心紡ぐ優しい昔話を。

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