タマゴ/5
ぱきりぱきりと殻は零れていく。いくらかまで殻がなくなると、一気に弾け飛んだ。その瞬間教室中を光が包んだ。余りの眩さに瞼を閉じたが、その光はすぐに消えた。次に目を開けたときに見えたのは、思ったよりも最高の結果だった。
「……ちゃっちいなぁ」
姿は僕が心配しているようなナマコではなかった。むしろ可愛らしい女の子だった。髪は黒くて長い。白と桃の着物を着ていた。こちらを見て、ふふふと笑みを浮かべていた。ね●どろいどのようで、胸がきゅんとする。
「うぉー! 天広のやつナマコじゃねーぞ!」
そんな声に、僕の
「悪かったって。本当にナマコが産まれると思ったんだよ。僕みたいな……才能のない奴のところに産まれるやつはさ」
自分で言ってて悲しくなってきた。
あぁしかし、我が天広家のDNAの奇跡がこのようなところで現れるとは。しかも全く関係のない、AIという人間性のかけらもないところで。
「さて、まずは名前を付けてみなさい。あーっと、そうだ。お前たち、席を立っても良いぞ。友達と相談しながらでもいいから、決めなさい」
その担任の一言で、一部の生徒たちは席を立ち始めた。僕の周りには、正詠と遥香が来た。
「うわ、あんた女の子の
遥香の肩には短い白髪、鼻の頭に絆創膏を貼っている女の子の
「らしくないな、太陽」
正詠の肩にはオールバックの黒髪、褐色の肌の男の
正詠と遥香が椅子に座ると、二人の
「か、可愛い」
遥香が声を漏らした。確かに、この様は可愛らしい。
「お前たちは名前を決めたのか、太陽、遥香」
ごほんと咳払いしながら正詠はそう聞いた。
「いや、まだだけど、どうしよっかな。ナマコナマコ言ってたし、ナマコにしようかな」
口を開けながら僕の
「冗談だ、冗談。うーん……」
ぱちんと、遥香が指を鳴らした。
「リリィ!」
遥香の
「んー何となくロビンだな」
肩を竦める正詠の
「んー……あー……」
二人が名前を決める中、決めあぐねる。
「この子、可愛いし女神みたいじゃん」
「太陽の
「そんな仰々しい名前はこいつには似合わないよ。よし、テラス。お前はテラスだ!」
僕の
「よーし、次に
ステータス?
「お前、少しは予習しとけよ。こいつらは〝学習〟を促すだけじゃないんだからな。ロビン、ステータスオープン」
「リリィ、ステータス見せて」
二人とも手慣れている。
「えーっと、テラス。ステータス、開示」
しかしテラスは首を傾げた。おっと、これは予想外ですよ。オープン、見せて、と来たら開示でもオーケーじゃないのですか、超高性能教育情報端末さん。
「テラスさん。ステータスを見せてくれると嬉しいんだけど、どうでしょうか?」
あぁ! と頷いて彼女を両手を前に出す。すると、そこから彼女のステータスが表示された。
・体力 C
・技力 C
・攻撃 D
・防御 D
・魔力 D
・機動 D
……全く勉強と関係ないものが羅列してるんだけど。
「これ、勉強と関係なくね?」
「そりゃあな。これは〝
「あぁ、そっか。そういやそんなのあったね」
「お前ゲームとか漫画とかアニメとか好きなのに、なんだその反応」
自分の
無限に近いバリエーションから作られる
「次はスキルの確認をしろよ」
担任の声。
あぁ、そうだスキルだ。その人の特徴にあったスキル。
「テラスさん、次はスキルを見せてくれますかね?」
テラスは嬉しそうに微笑むと、先程と同じように両手をこちらに出した。
・招集
・他力本願
……あんだこれ。招集と他力本願って。なんか、あんまりにも他力本願じゃね。
「基礎の確認は終わったな。ではこれからは……」
それから担任は、
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