96.箜篌
【
【
発生時期はおよそ四十年前。
前代の【
司る【
駆使する【
内包する【
【
通常【
現在湘南全域を覆っているようにみえるものは厳密には牢獄そのものではなく牢獄に繋がる扉──【
その【
初めて打ち破られることとなった。
「………………」
静かにその身体を震えさせる、監獄の主。
その身震いは何からくるものか。
怒りか、屈辱か、はたまた歓喜か、それとも──
「
とまれかくもあれ。
【
◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆
「し、しょ──」
「すまん
【
「まったくですね。重役出勤と言いますか。千両役者のおでましと言いますか」
「お前は本当に相変わらずだな……
「そちらこそ。相変わらずのヒーローっぷりで、なによりです」
「まだ言うか畜生。お前のその鉄面皮だって大概だろうに」
後輩二人の元へと歩み寄った
それを目にした
「おいおい、
「その筈…………だったんですがね。私としても素直に驚かされましたよ。…………アレが
【
「んな買い被られるようなことはしてないがな。俺一人じゃどうにもならなかったことだ…………というか、なんで
「有名だからです。死なせても死なないような人間だと」
「勘弁してくれ。死ぬに決まってるだろうが…………人間なんだから」
ゆっくりと白の直剣を構えながらに言う贖のその姿は、
とはいえ。
その
「…………現況を簡潔に言ってもらえるか、
「えーと。脱出の為に、この空間の淵まで、行こうとしたんだけど、案の定、辿り着く直前で、あの二体に捕捉されました。あの少女の方……【
同じく
同じく
そして
みな一様に生気を失った無機質な表情で、
「ちょっと前に、
「…………この上なく簡潔な説明どうも。つまり状況はほぼ最悪ってわけだ」
吐き捨てるような口調で
「悪趣味は承知の上だが、そこは勘弁してくれ。こちとら
「あぁ、そう言えば支配できる数が増えてましたね。当初の限界だった四体どころかもう六体ですか。成長著しいようでなによりです」
戦いのさなかに乱入してきた
この二人はここに来るまでの間に【
戦いの中で【
「まあ、そんな感じなんで、困ってます。全員撫で斬りにしちゃえば、終わりですけど、流石に憚られますからね」
「そこで『有り得ない』とか『言語道断』とかじゃなくて『憚られる』止まりなのがお前だよな……」
「別に良いでしょ、慮ってるんだから…………で、どうします?」
ゆっくりと
「どうするもこうするも、俺にだってどうしようもねえよ」
「………………」
「そう白々しい目でみるなっての。まあ、幸いにして…………どうにかできるやつが、一緒に来てくれてる」
「は? どうにかできるやつ…………?」
「………………! まさか」
訝しむ【
「他力本願で申し訳無いが…………頼むぞ、助っ人」
「──人じゃないけどね」
最後の乱入者は──
「やあやあ、どうも。お二人共に初対面だね? 若い
「…………【
「いやぁそれほどでも」
「褒めてません。『始まりの
「そうは言ってもねぇ。私は性質的にどうやっても人間に対しては無力だし。私がデカい顔出来るのは
ボウゥ、と、不可思議な色の炎を舞い上がらせながらに【
そしてその炎を目にした瞬間、【
(まずい──私はともかくとして今の【
【
「失敬」
「へ?」
渾身の飛び後ろ回し蹴りを叩き込んだ。
「ボ、げぁああぁあぁぁぁ!?」
【
そして──
「そこまで。さぁて──
【
「【
灰色の炎幕が、海嘯の如くにその場に押し寄せ、呑み込んでいく。
「く、そ…………!」
【
為す術もなくその灰の波に飲まれていく。
そして。
その周りにいる、
「そんなっ、待って、みんなが!」
「下がってろ
灰の焔が周囲を舐め尽くした後──その場に遺っていたのは。
「ん、んぅ…………あれっ? 何が、どうなりました?」
ケロッとした顔で飛び起きた。
「やーやー
「え? あ。はい。そうでしょうそうでしょう」
「うん、殴っていいかい?」
「何故にっ⁉」
漫才めいたやり取りをする【
「〜〜〜〜! あの、あのアホバカ
それを見た
そして、敵も。
「話には聞いていましたが…………やってくれますね、【
忌々しげな声を上げる【
「おお、まともに食らってまだ消えてないのか。中々にとんでもないな、君も」
「全くもって悍ましい──人の見果てぬ夢が孕んだ堕とし仔。【
吐き捨てるように、【
「もはや【
──【
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