86.怪斑
「
「蝗」を読んで字の如く、「虫」の「皇」帝とさえ称される。
一説によるとその語源は、古代中国における三大災害の一つに数えられるある天災が皇帝の命をも左右すると言われたことからであるとの事。
「
なお、混合されがちな
対する
その由来はラテン語の──「焼野原」だ。
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「ウ、ぶゥ、ぉォゲェロロロロロロゥヴェェェェアアアァァあ"っ!!!!」
「な"ぇーーーーーー!?」
悍ましい嘔吐音と共に、悪魔と謳われた昆虫が次々と【
その様子を目撃した【
「ちょいちょいちょいちょーーーーいっ! おれも大概
お前も十二分に
「【
その手に現した二挺拳銃を駆使し、自らに襲来する飛蝗達を【
「ヴぅえ"っ! べェっ! ケェっ!」
その間も【
撃ち落とした端から次々と増えていくその有り様を目にし、しかし【
「あっひゃっひゃ! こりゃ厄介! ちっこい頃よく飛蝗の脚捥いで遊んでたけど、この分じゃ虫けらを潰し続けてたら日が暮れたって終わんないにゃあ! んなら──本体を叩くのみっ!」
【
自分より二回りは小さい【
ガジ、ガジ、ガジ。
けたたましい音が歪んで響く。
「んなっ……!?」
絶句する【
「デ、
「べっ」
流石に嚥下することはなく、喰い破った刃を吐き捨てる【
その光景に目を見張る【
「ぶ──ふぅゲぇぁっ」
「うわっちょ、危なっ!」
ほぼゼロ距離で更なる蟲を追加する【
【
「あーもう! 本体の方の基礎スペックも中々じゃんさぁ、蟲ゲロお嬢ちゃん! すばしっこい上に強度も高い。かといって追わなきゃ虫が増えてくだけだし、ねぇ!
「ヴぉげェぇアっ!!」
猟犬の如くに敵を追い続ける追尾弾
しかし、それに対抗するように飛蝗の群れが
「
「ぶゥ、バぁああああがァ!」
「いや、それしか知らないのかあんたわー!」
言いながらに、内心で【
幼ささえ感じる外見をした目前の少女
このまま増殖を続ければ──
「っと、言ってる側からぁ! うっわ
数匹の飛蝗が【
次の瞬間。
「ん、に"、あ"? む、ぐぐくぐぅ…………力が、抜け、こんのっ!」
一瞬身体が脱力しそうになるも、すぐさま奮い立たせて取りついた飛蝗達を剥がして握り潰す。
「ふぃー。ったく、やっぱ一匹一匹に【
──【
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「現在【
自身の監獄内の様子を監獄の長たる【
「膠着状態ぃ? っちゅー事はもうほぼほぼ詰んどるて事ですやん」
「まあ、そうなるな」
「かぁー! 役に立たん
忌々しげな表情を隠そうともせずに【
「ほなら、我等が最強ちゃんに意見を聞こかな。【
流石にもうメンタルを立て直せたのか、いつもの平静な態度で【
「さて、彼女の【
「そうなん? 火炎放射器とか結構いけそうやけど」
「固い表皮や外殻を持つ昆虫は少々炎を浴びせられても死にはしませんし、死ぬとしても完全に燃えるまでしばらく動けます。オーブンでチンしても生きていたゴキブリの話、聞いたことありませんか?」
「聞きたくもないわんなもん」
「そして、先程お二人が言っていたように蝗害の対処は初動が勝負です。【
ふう、と息を吐く【
「【
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◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
「
通常の
だが。
周囲に多くの同種がいる高密度下で発育した個体はホルモンの変化により徐々にその姿形を変えてゆく。体色は黄色や黒の目立つものへと変色し、体格は巨大化、外殻は硬質化。翅もまた長距離飛行に適した長大なものへと変質し、風に乗れるよう体重は軽くなる。そして何より──毒草や紙に綿など、本来食べない植物由来の代物を片っ端から食い荒らす程に悪食化する。
この状態を「
その変貌ぶりは1921年にロシアの昆虫学者ウバロフが「
数百億、数千億という感覚の狂う程の数に群れ、それらは比喩抜きに天地を覆いつくし、風に乗ることで日に100km以上の距離を移動しながら緑という緑を喰らい尽くしていく──それは到底人の力など及びもつかない、正真正銘の天災である。
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──ガチ。
ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。ガチ。
異様な咀嚼音が響き渡る。
「ひゃーっ、ひゃーっ、ひゃー…………どれだけゲロるってのさ。底無しかい? あーもー疲れたー。いや腹減ったのかこれ。あっひゃっひゃ、飢餓感なんて久々だねぇ」
相変わらずの軽口を叩く【
「
「う、ゲェェぇえぇエェぇっ! …………おなか、すいた。ねぇ、みんなも、おなかすいたよねぇ」
戦闘中は延々と
「あっひゃ! そんだけゲロゲロすりゃー腹も減るでしょーともさ! もうちょい落ち着きというものを持った方がいいんじゃないかにゃあ!? 大人の
「おねえさん、回帰早いねぇ。齧っても齧っても、食べても食べても、喰っても喰っても元に戻るんだねぇ。なら──」
お互いに会話が成立していない事など気にも止めないまま捲し立てる。そんな中、無表情を貫いていた【
「食べ放題じゃん」
その言葉が引き金となり、夥しい
その数は【
「──あひゃ♡」
「ぇあ?」
【
「あーーーーっひゃっひゃっひゃーーーー! ざーんねーんでーしたー! じ~か~んぎれ~~~~! あひゃーひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! 時間稼ぎしてたのは自分だと思ってた!? お互い様だっつーのぉゲーローチービー!」
呵呵大笑する【
「なに、したの?」
「相手の【
ニタリ。
と、得意満面の顔で【
「
「!!」
そこで【
「あっひゃっひゃっひゃー! もちろん殺虫剤っつってもキン●ョールみたいな身体に優しい代物じゃぁないよー!? ヨーロッパじゃ禁止されたバリバリ人体にも有毒なヤツさぁ! でなけりゃおれの【
「あっそ」
次の瞬間、【
「!」
反射的に【
しかし。
「んなっ──!?」
【
「──
【
「お、おええええぇぇぇぇぇぇ!?」
──前に。
【
「…………はひ?」
「おぇっ! うぇっ! ぶえ! ま、まままっま、ままっままっま──
涙目になって絶叫する【
「ひ、ヒック、ひんっ! ぅ、う"ぅっ! も、も、もうやだーーーー!! かえるーーーーーーーー!!!!」
泣き喚きながら、【
そして、ポツンと取り残された
「…………………………いや、酷くない?」
無所属。
【
対。
【
十の十、【
【
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