第2話…悲しみを背負う事

「ヒロ君久しぶり、ユウ君から退院したって聞いてさ…カレー持って来たからお鍋…」

退院して数日後に初めてこの部屋を訪れたのはヒロの亡くなった父親の親友の娘・七瀬だった


「鍋なんてねぇよ、てか勝手に上がるなよ」

「空気もこもってるし…換気換気」

七瀬が窓とカーテンを開けると風が部屋の色を一新させた

「ユウ君さ…私の事何か言ってた?」

風に舞う髪をおさえながら七瀬は振り向いた

「何も?」

「そっか…なら良いんだ」

七瀬は目立つタイプではないが、透明感のある美人だった

「両親がユウ君の働く施設に入ってさ、最近何かと会うんだよね、スゴく良くしてくれてる、子供の頃はさ正直苦手だったんだよね、気難しいし周りに人を寄せ付けなかったじゃない?

覚えてる?皆で旅行行った時の事、ユウ君だけ子供の輪に入らなかったじゃない?」

近くのスーパーで片手鍋と白米を買ってきた二人は食事にした、話の中心は共通の知人であるユウの事だった、相変わらず神経質そうなメガネをかけたユウは子供の頃と変わらなかった

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