第18話 魔王堕つ

「ずっと…なんだよ?」

 すでに事切れたユキにタケが訪ねる。

「ユキ…要らなかったよなー…魔法力も、こんな剣も…」


 タケはユキを床に寝かせると

「我は、シュンカ国王タケである。王国民よ、悪は…この手が刈り取った」

 恐怖政治に怯えた日々は終わりを告げる。


 歓声と、どよめきが起こる城内、静かにアキはユキの遺体を抱えて…その場から消えた。

「約束だものな……ソーサラー」


 しばらくして、タケが城の地下室へ向かう。

 玉座に、アキからそうするようにメモが張ってあったのだ。


 地下室の奥…以前ならユキしか入れなかった魔法炉への扉が開いている。

 タケが部屋に入ると、アキが魔法炉の前に立っていた。

「アキ…」

 アキは振り返らずに

「タケ、お前、最後にユキの顔見たのいつだ?」

「……さぁ…忘れた、覚えてるのはガキの頃のアイツと…紫の眼だけだ」

「ずっと仮面付けてたからな……見てやれよ…ユキの顔」

「えっ…ユキは…」

 アキが無言で魔法炉を指さす。

 タケが魔法炉を覗くと緑色の液体に沈むユキの身体。

 身体中に魔石が埋め込まれたユキの身体。

 仮面は外され、胸には魔剣が刺さったまま。


 紫の瞳は開かれ、まるで生きているようなユキの顔。

 その顔は魔石がいくつも埋め込まれ、白く整った顔に喰いこんでいる。

「痛いんだぜ…たった1個でも」

 アキがタケの肩を叩く。

「ユキは死んでいるのか?本当に……」

「ユキは死んでるよ…お前が殺した…」

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