第17話 式典

 ユキの即位から5年……。

 あくまでユキの私兵とされていた騎士達が正式な騎士団としてお披露目された。


 真っ白なローブを頭から被り、顔はマスクで覆われている。

 腰には様々な魔石が埋め込まれた剣を携え、街のメインストリートを行進する。


 大通りは城へ続く直線道路、城ではユキが自分の騎士団を迎えるために待っている。

 玉座に座るユキの横には『ナイト オブ ハイエロファント』・アキが正装を纏い控えていた。


 城の門が開くと、壮大なファンファーレが鳴り響く。


 騎士団の入場が始まる。


 40名余りの騎士が、ユキの前にひざまずく。

「本当にいいんだな…それで…」

 アキがユキに確認する。

「あぁ……もとからそのつもりだ……」

「そうか…他にあったんじゃないのか?」

「かもしれない…だが、もういまさら……」


 ひとりの騎士が立ち上がり、ユキの前に進む。

 タンッと踏みこみ、騎士はユキへ一直線に走ってくる。

「きたか……」

 ユキがフッと笑う。

 騎士は剣をユキに突き刺す。

『マジックキャンセラー』

 魔法力を封じる王家の魔剣。

「魔法力が無ければ…お前は、ただの人以下だな…ユキ」

 マスクを投げ捨てるタケ。

「……人以下とは…言ってくれる……僕が欲しかったのは魔法力なんかじゃなかった……僕はただ…ずっと………」

 タケにもたれ掛るように、ユキの身体がタケに覆いかぶさる。

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