第6話:化粧台で嘔吐しないでください
「よし、一通り部員の紹介も終わったことだし、じゃーここからは更にディープな自己紹介いってみようっ! というわけで、まずはあたしねっ!」
部長さんが、えっへんと胸を張ります。
ぴっちりしたスクール水着の上からでもはっきりわかる大きな胸。
なんというか、ううん……羨ましいです、シンプルに。
「あたしが好きなものはゲロっ! 自分で吐くのも誰かが吐くとこ見るのも、ゲロそのものの造形も色もにおいも質感も全部が大好きっ! もう、ゲロになりたいっ!」
大きなポニーテールをぶんぶん振りながら語る部長さん。すごい気迫です。
と、途端にクールダウンした様子で、私にじりじり近寄ってきて、
「どう? 小々奈ちゃんは、ゲロ、吐いたことある?」
んー? と、私の顔を覗き込みます。
「は、はい、ありますけど……」
「おおーっ」
ぱちぱち、と部長さんが拍手してくれました。
「じゃ、吸香ちゃんはっ?」
ビシッと吸香先輩を指差す部長さん。
「あるぞ」
「おおーっ」
ぱちぱちと拍手する部長さん。
「じゃ、モンメちゃんはっ?」
「はあ? そ……そりゃ、あるけど、別に、ゲロぐらい」
「おおーっ」
ぱちぱち拍手する部長さん。
「じゃ、イバリちゃんはーっ?」
すると個室のほうから、
「……ある」
「おおーっ」
ぱちぱち拍手する部長さん。
そして拍手し終えると、満足げな笑顔でニコニコ私を見つめます。
ニコニコ。無言で。じっと。
………………。
……え?
「あ、あの、部長さん、どうかしましたか……?」
「みんなのゲロ経験聞いてるうちに二回イッちゃったから余韻を楽しんでたー」
「に、二回っっ!? どこでっ!?」
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