第9話『認識法則』

「この水はもらっちゃおう、姫のために、有効に使わせてもらうということで・・・」

と、僕は水をもらうのを正当化することにした。

この国と姫のために有効活用させてもらうと、心に誓って。


「よし、これでかなりわかってきたね!」

と僕はいった。

そう、かなりわかってきたのだ。

この超常の力『カード化 - カードライズ』の能力が。


「次は何をするの?」

と、アスカが僕に聞いた。


-


「そうだね、試したいことはたくさんあるんだけど、まず今までの事をまとめたい」

と僕が言う。


「なるほど!それもそうね!」

と、彼女は僕の発言を理解してくれた。


「今までの実験で幾つかのことがわかった。実際に出来たことを上げると、1.岩をカードに出来る。2.椅子をカードに出来る。3.水をカードに出来る」

と僕が言う。


「ふむふむ、そこからわかることは?」

とアスカが聞く。


「まず、岩をカードに出来ることからわかることは、実際には持てないような、重い物もカードに出来るということだね。そしてカードは普通のカードと同じくらいだから1gくらいだ」

と僕が言う。


「ほんとそれはすごいわね。基本的に重い物を敵の上で具現化したら、倒せちゃうわね!」

とアスカは言った。


「そうなんだ!まずそれがすごい」

と僕が言う。


「で、次は椅子だね。これは複雑なものもそのまま、カード化出来るということなんだ。これもかなり凄い」

と僕が言う。


こんなことは、現実の世界でもまだできていない。3Dスキャナーでものを測定して、3Dプリンターで復元してもいまの機械の性能だと、まったく同じものというわけにはいかない。それがこの能力を使えば一発でできる。


「ふむふむ」

とアスカが頷いている。


「そして、水だね。これもひとつづきの水ならまるごと全部カードに出来るということがわかった。これは相当すごい。それから・・・」

と僕が言う。


「それから・・・?」

とアスカが聞く。


「浴槽はカード化されなかった!」

と、僕が言う。


「それは凄いことなの?」

とアスカが聞く。


「うん、すごい。水と浴槽は別のものとして認識されているということなんだ!」

と僕が言う。


「どゆこと??」

とアスカは聞く。


「つまりカード側が、一つのものと認識する条件があるということなんだ。椅子は一つのものとして認識するのに、水は浴槽ではなく、浴槽の中の水、として認識したということなんだ」

と僕が言う。


「ふむふむ」

と、アスカが頷いている。

わりとややこしい話だが、アスカはなんとかついてきている。

さすがに姫だけあって高度な教育を受けているのだろう。


「つまり、このカード側の認識法則を見抜けることがこの能力を最大限に活かすことになるんだ!」

と僕は言った。


「というわけで、次はこれを試してみよう!」

と僕はトコトコ歩いて別のものにスキルを発動させた。

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