第6話『後でね』
「椅子?椅子を何するの?」
とリリィが僕に聞く。
「こうするんだ!」
と僕は、改めて、アスカ、リリィ、ユリカの前で、椅子に触って、スキル『カード化 - カードライズ』を発動させた。
-
『カード化 - カードライズ』
キィィィィン
と手元が光る。
そして、パッと椅子が消えた。
「え?え?」
とリリィが驚く。
そう、普通驚く。
ここに確かにあったものが一瞬で消えたのだ!
「これか・・・さっきやっていた技は・・・私は出てくる所しかみることが出来なかった」
と、ユリカが言う。
彼女はゴブリンの上空に岩を出すところだけ見ていたらしい。そして今の現象をそれと関連があると考えた。
「そう、そして椅子は今ここにある」
と僕が皆に見せる。
「え?カード?」
とリリィが聞く。
「そう、いまあった、椅子がこうなったんだ」
と僕が言う。
「え!ええぇぇぇぇ!」
とリリィが驚く。
そう、驚くのもムリはない。
物理法則を無視した能力だからだ。
こんな能力は本来ありえない。
「そして、元に戻せる!」
と僕が言う。
「え?」
と再び驚くリリィ。
『現実化 - リアライズ』
と僕がカードを置いてスキルを発動された。
キィィィィンと僕の手が光る。
そして、ポンッと、煙のような物がでて、カードは椅子に戻った。
「なっ!なっ!!」
とリリィは驚きっぱなしだ。
「すごいな・・・この能力でゴブリンを一撃で倒したんだな・・・」
とユリカは感心している。
「そう、ケンゴは凄いんだよ!」
と姫のアスカが皆にいった。
「ぐぬぬ。これはすごい・・・」
とリリィが言う。
「これなら納得だな」
とユリカが言う。
「ありがとう、改めてよろしく!アスカ、リリィ、ユリカ!」
と僕は言った。
「よろしくね! ケンゴ!」
と、アスカは三人分返事をした。
この能力は本来は隠しておいたほうがいいような気はするが、アスカにはすでに見られているし、これから世話になる、リリィとユリカには見せておいたほうがいいだろうと思っていたのでみせたのだった。
「じゃぁ、ちょっと他にも試したいことがあるから、いろいろ試してきていい?」
と、僕は聞いた。
「そうね!みんなも疲れたわよね!休憩しましょう!」
と、アスカはリリィとユリカに言った。
ん、アスカならその実験も見せろといいそうだな・・・と思っていたけど、あっさりと、言った。ほんとに疲れているのかな?と僕は思った。
「わかった!」
とユリカがいい。
「わかりました!」
とリリィが言う。
と、彼女たちは自分の部屋に戻っていったようだった。
ただ、出る瞬間僕のそばを通った時に、アスカはまた後でね、と他の二人に聞こえないように僕に言ったのだった。
後で・・・ね?
と、僕はその言葉の意味を考えつつ、この後の事を考えた。
この能力で確かめなきゃいけないことはいくつもある。
それを確かめなきゃいけない・・・。
いろいろ考えて、確かめるべきことを整理したあと、僕は部屋を出た。
「遅かったわね!さ、行きましょう!」
と、アスカが満面の笑みでそこに立っていた。
そう彼女は、休憩するフリして護衛二人から逃げ出してきたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます