オーク関係論(多分)

黒いやかん

普通に豚関係から

 その造形の言訳にもされるオークの語源、ポークと同系の、ポルキュスがどうたら、オルクスがどうとか、は、大体否定されてゐるけども、一応。


 オルクスの関係にオルカがゐた筈であるが、ORCAは、日本海沿岸部のどこぞで「タテオベス」と呼ばれて忌まれてゐたらしい他、シャチ、と言ふ呼称が、外来魂(マナ)を表す呼称であり、なんぞチャンスとか幸運でいいや、が物質として海で泳いでゐると考へられてもゐたらしい。なほ幸矢(サツヤ)とか言って、「HITした投擲系武器」はそれが幸運そのものであるとして拝まれたらしいけど、猟師さんが前もってたシャチ玉と西欧の「銀の弾丸」はたまたま似通ったでいいはず。


 大昔、スワインハード(豚飼ひ)は、冥府の神オルクスを筆頭に死後のなんぞを司る神に仕へる者の兼業であり、その「豚飼いってえらいよね」な伝統は、あー、アイルランドの守護聖人、聖パトリック上人様の、一介の豚飼ひ稼業から身を起こし、ローマだか、エルサレムぢゃねえよなへ赴いて修行の果てに、聖なるものとして豚の島エリンへ帰り、教化為したり蛇を駆逐したりしたさうな、とか、サンタクロースが十八世紀までは冬至あるいはクリスマスに各戸を訪ふて、よい子にプレゼントをではなく、持ってきた豚を屠って肉にして家の衆へ振る舞ふ、といふアレな伝承の形で、キリスト教に何となく入ってゐるものの、ラヴクラフトは邪悪なものとして豚飼ひを出したし、


ジム・ヘンソンのストーリーテラーの一話「ハリネズミのハンス」では、グリムの収録した「ハンスあるいは坊ちゃんハリネズミ」、ハリネズミのやうな醜い子供のハンスが、森へ行って豚の繁殖に成功し、一回田舎へ帰って、村の衆を総動員させて屠畜祭りを開催する、シーンがカットされてゐる。ちなみに、一般人が屠畜といふのを信じられない日本へ向けた資料では、さらっと書かれる。


なほそのジム・ヘンソンの方の、ストーリーテラーの、ハリネズミのハンスはある時からいきなり威厳があるが、原典でも、いい王様の娘を娶る際、嫁の関係へ呪ひをとる手順をいろいろ指示するが、多分この辺は、「スワインハードだもんで神様とかスーパーナチュラルななんぞからなんか聴けるんだらよ」と言ふ何かが消されてなほ滲み出てゐるでいいはずである。アメリカ関係はー、ナニなのだけども、あの、オークの出た話の、元の話『指輪物語』は、アメリカやニュージーランドなど新興国でもてはやされてゐる。



 ネタとしてヒルディスヴィーニやグッリンブルスティ等の騎乗用猪、マザーグースに頻出するらしい「鞍(Saddle)を置く雌豚(Sow)」巨人を乗せてイングランド各地を回ったといふ豚頭の妖精、角足のジミーとかをアレすると面白いと思ふのだが、どっちかっつうと「指輪物語」に、最も最下層のオークで、「狼乗り」と言ふのがゐて、(ワーグと呼ばれる巨大な 著者注釈 こっちはいろいろ乗せないんでした)狼に打ち跨り、統制が取れてるんだかゐないんだかの戦線を潜り抜けて善なるものへなんかしてゐる。健部伸明『幻獣大全』では、「サンタクロースからの手紙」に登場する、ゴブリンが、小さいことと、ドラシル(馬の意!)と呼ばれる胴長短足の犬のやうなものに乗ってゐる点、「ホビットの冒険」ではオークが「ゴブリン」と呼ばれてゐた点を指摘して、多分、指輪の最小オークのなれの果てではと言ってゐる。ので、豚ライダーオークはいいと思ふがオークがなんかを御神輿に乗せてアレするのはなんつうかなぁ。


ダンジョンズ&ドラゴンズでの、オークが拝んでる神様は、さういふ死の神でないが、隻眼であるといふ、原始的な鍛冶屋の神様の特徴の一つを持ってゐる。多分批評とか分析で、「オークは鍛冶屋さんのごとき、スヴェルトアールヴ(ドワーフ)としてのエルフなんだらよ」と言ふナニだと思ふ。

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