龍壊師
@ekkusu
第0話 調査
旧世界……。俗に、神話として語られている世界……。
その当時から、この世界に存在し、時に悪であり、時に善として語られている存在であるモンスターは、今なお存命しており、人々の恐れの対象である……
今より遥か昔、人々はモンスターを駆逐するため、龍壊師という存在を作り上げた。
しかし、人の力では、モンスターに傷をつけることはできない。
そんな中で龍壊師は、打開策として、モンスターの素材を用いて様々な兵器を作り出した。俗に、『聖具』と呼ばれるその武器は、今やすべての龍壊師に支給され、日々モンスターと、決死の死闘を繰り広げる。
「……は、………に生……。……に、ドラゴンの……として…………が多い」
駄目だ。字が掠れて読めない……。
とある荒廃した研究施設の一角に落ちていた本を手に取った僕は、声に出して内容を読んでみた。
しかし、大事な部分は、全てと言っていいほど掠れていて、まるで誰かが意図的にそうしたような、そんな気さえしてくる。
「ドラゴン……」
まさか、そんな大物がまだ生きているとは考えられない。
最後にドラゴンが確認されたのは、確か200年近く前だったはずだ。
だとすると、この本は、200年以上前の……?
いや、流石にそんなはずはないだろう。
ただの紙が200年ももつはずがない。
「エイガ。何か見つけたか?」
と、僕が1冊の本について考察していると、不意に背後から声がした。
「いや、本が数冊あるだけで特に無いな……」
驚きつつも振り返ると、そこには、人のものとは作りの違う伸びきった耳、朱色の長髪に、見ている方がうんざりしかねないほど固苦しく着こなされた服を着た少女が立っていた。
「そうか」
一瞬、この本のことを言おうかとも思ったが、しかし、特に読めるような内容があったわけでは無い。だが、なんというか、拭いきれないものを感じる……。
「なぁ、レナ?」
ふと、気になったことがあり声をかけてみるが、朱色の髪をしたエルフ、レナからの返事は無かった。
が、僕はめげること無く話を続ける。
「ここ最近ドラゴンは見つかったりしているのか?」
「既に絶滅した生物を、見たかだと?馬鹿にしているのか?」
杞憂か?
「なんでもない。忘れてくれ」
僕は、未だ拭いきれずにいる感情に、身を焼かれつつも、自分の思い違いだろうと無理やり納得した。
「そうか?まぁいい。1度帰るぞ」
レナは、どこか腑に落ちないようなリアクションをとっていたものの、しかし、それでも直ぐに元の堅苦しい雰囲気に戻り、1度戻ることを告げてくる。
「ああ。分かった」
そう言って、僕たちは荒廃した研究施設を後にした。
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