『過ぎる』って『すぎる』『よぎる』? 字面は同じだけど読みが異なる単語あれこれ

 タイトルに書いたように『過ぎる』だけだと、一瞬『すぎる』か『よぎる』かで読むのに迷うことがあります。

 『この読みではなかった』と文脈で気づいて読み直すという手間が発生することもあります。できることならそんな文章にしたくないものです。


 『同じ漢字だけど、読みが異なる』単語を列記しました。




◆読みで意味が変わる単語

行った⇒おこなった、いった

大事⇒たいじ、おおごと

過ぎる⇒すぎる、よぎる

触れる⇒さわれる、ふれる

辛い⇒つらい、からい

挟まる⇒はさまる、せばまる

溢れる⇒あふれる、こぼれる

逸れる⇒はぐれる、それる

止める⇒とめる、やめる

強請る⇒ゆする、ねだる

覆った⇒おおった、くつがえった

塗れる⇒まみれる、まびれる、まぶれる、ぬれる

認める⇒みとめる、したためる

苛め⇒さいなめ、いじめ

弄れ⇒いじれ、ひねくれ

お札⇒おふだ、おさつ

潤す⇒うるおす、ほとばす

下手⇒へや、しもて、したて

心中⇒しんじゅう、しんちゅう

気色⇒きしょく、けしき

大分⇒おおいた、だいぶ、だいぶん

人事⇒ひとごと、じんじ

人気⇒ひとけ、にんき、じんき

人間⇒にんげん、じんかん、ひとま

仲間⇒なかま、ちゅうげん

生物⇒せいぶつ、なまもの

生地⇒きじ、せいち、しょうち

仮名⇒かな、かめい、かりな、かんな、けみょう

素振り⇒そぶり、すぶり

忠実⇒ちゅうじつ、まめ

経緯⇒けいい、いきさつ

分別⇒ぶんべつ、ふんべつ、わいだめ

私事⇒わたくしごと、しじ

心底⇒しんそこ、しんてい

万歳⇒ばんざい、ばんぜい、まんざい

市場⇒しじょう、いちば

燻る⇒いぶる、くすぶる

包まる⇒くるまる、つつまる

通った⇒かよった、とおった

廻る⇒めぐる、まわる

一途⇒いちず、いっと

一端⇒いっぱし、いったん、いちはな、ひとはし

小人⇒こびと、しょうじん、しょうにん

武士⇒ぶし、もののふ

花弁⇒かべん、はなびら

穿った⇒うがった、ほじった

解く⇒とく、ほどく

一見⇒いっけん、いちげん

一月⇒いちがつ、いちげつ、ひとつき

日日⇒ひび、ひにち、にちにち

億劫⇒おっくう、おくこう、おっこう

面子⇒めんつ、めんこ

直筆⇒じきひつ、ちょくひつ

上手⇒かみて、うわて、じょうず、じょうて

出来⇒でき、しゅったい、しゅつらい

今日は⇒きょうは、こんにちは

その間⇒そのかん、そのあいだ

方⇒かた、ほう

等⇒など、とう

位⇒い、くらい

角⇒かど、つの

溝⇒どぶ、みぞ

主⇒ぬし、あるじ

僕⇒ぼく、しもべ

体⇒てい、からだ

縁⇒ふち、へり、ゆかり、えん、えにし、よすが

直⇒ちょく、じか、じき、ただ、なお、ひた

便⇒びん、よすが、べん

理⇒ことわり、り

術⇒じゅつ、すべ

文⇒ふみ、ぶん、もん、あや

肇国⇒ちょうこく、はつくに

菖蒲⇒あやめ、しょうぶ、そうぶ

白金⇒はっきん、しろかね、しろがね、しらかね

生醤油⇒きじょうゆ、なまじょうゆ

日本橋⇒にほんばし、にっぽんばし


◆読みで意味が変わらないor似ている単語

避ける⇒さける、よける

堪える⇒たえる、こたえる、こらえる

怒る⇒おこる、いかる

怒った⇒おこった、いかった

戯れる⇒たわむれる、たわぶれる、じゃれる、ざれる

空いた⇒あいた、すいた

開く⇒あく、ひらく

開ける⇒あける、ひらける

捻る⇒ひねる、ねじる

懐く⇒いだく、なつく

汚れ⇒けがれ、よごれ

歪む⇒ゆがむ、ひずむ、いがむ

逃した⇒にがした、のがした

蒸した⇒むした、ふかした

表す⇒あらわす、ひょうす

誘う⇒さそう、いざなう

誘って⇒さそって、いざなって

忙しい⇒せわしい、いそがしい

厳しい⇒きびしい、いかめしい

脅かす⇒おびやかす、おどかす

最中⇒さなか、さいちゅう、もなか

大人気⇒おとなげ、だいにんき

値⇒ち、あたい

何色⇒なにいろ、なんしょく

捲る⇒めくる、まくる

叩く⇒はたく、たたく

突く⇒つく、つつく

退く⇒ひく、どく、のく、しりぞく

変化⇒へんか、へんげ

見物⇒けんぶつ、みもの

勝って⇒かって、まさって

潜って⇒もぐって、くぐって

交わす⇒かわす、まじわす

荒んだ⇒すさんだ、あらんだ

留まる⇒とまる、とどまる

艶やか⇒つややか、あでやか

忌忌しい⇒ゆゆしい、いまいましい

顰める⇒ひそめる、しかめる

難い⇒がたい、にくい(言い難いなど)

憤る⇒いきどおる、むずかる、むつかる

解す⇒ほぐす、かいす

未だ⇒まだ、いまだ

臭い⇒におい、くさい

後々⇒あとあと、のちのち

客⇒きゃく、まろうど

自棄⇒じき、やけ

東風⇒こち、とうふう、ひがしかぜ

描く⇒えがく、かく

船底⇒せんてい、ふなぞこ

故郷⇒こきょう、ふるさと

牧場⇒ぼくじょう、まきば

何時⇒なんじ、なんどき、いつ

今日⇒きょう、こんにち

昨日⇒きのう、さくじつ

一昨年⇒いっさくねん、おととし

一昨日⇒いっさくじつ、おととい、おとつい

一昨々日⇒いっさくさくじつ、さきおととい

明日⇒あす、あした、みょうじつ

明後日⇒みょうごにち、あさって

明々後日⇒みょうみょうごにち、しあさって

今年⇒ことし、こんねん

今朝⇒けさ、こんちょう

一時⇒いちじ、いっとき、ひととき

十六夜⇒いざよい、じゅうろくや

十八番⇒おはこ、じゅうはちばん

居る⇒いる、おる

水気⇒みずけ、すいき

水面⇒すいめん、みなも、みのも

台詞⇒せりふ、だいし

彼奴⇒あいつ、かやつ、きゃつ

家内⇒かない、やうち、やぬち

身体⇒からだ、しんたい

耳朶⇒じだ、みみたぶ

小屋⇒こや、しょうおく

食物⇒しょくもつ、しょくぶつ、くいもの、じきもの、はみもの

書物⇒しょもつ、かきもの

意気地⇒いくじ、いきじ

不精、無精⇒ぶしょう、ぶせい

梅雨⇒つゆ、ばいう

紅葉⇒もみじ、こうよう

疾風⇒はやて、しっぷう

大蛇⇒おろち、だいじゃ

銀杏⇒いちょう、ぎんなん

祝詞⇒のりと、しゅくし

女形⇒おんながた、おやま

鍛冶⇒かじ、たんや

玩具⇒おもちゃ、がんぐ

老舗⇒しにせ、ろうほ

一行⇒いちぎょう、いっこう、ひとくだり、ひとつら

一連⇒いちれん、ひとつら

一時⇒いっとき、いちじ、ひととき

一色⇒いっしょく、いっしき、ひといろ

一寸⇒ちょっと、いっすん

一文⇒いちぶん、いちもん

訳⇒やく、わけ

所⇒ところ、しょ

頭⇒あたま、こうべ、ず

瞳⇒め、ひとみ

眼⇒め、まなこ

元⇒もと、げん

毎⇒まい、ごと

種⇒しゅ、たね

主⇒おも、しゅ

類⇒るい、たぐい

床⇒ゆか、とこ

直⇒じき、じか、ただ、ちょく、なお、ひた

皆⇒みんな、みな

酷い⇒ひどい、むごい

有無⇒ありなし、うむ

海風⇒うみかぜ、かいふう

生命⇒せいめい、いのち

手刀⇒しゅとう、てがたな

金色⇒きんいろ、こんじき

音色⇒ねいろ、おんしょく

御⇒ご、お、ぎょ、み

神技⇒しんぎ、かみわざ

大弓⇒だいきゅう、おおゆみ

剣⇒けん、つるぎ

刃⇒やいば、は、じん

玉⇒たま、ぎょく

球⇒きゅう、たま

金⇒きん、かね

印⇒いん、しるし

紅⇒べに、くれない

都⇒と、みやこ

東⇒あずま、ひがし

日本⇒にほん、にっぽん

大和⇒やまと、だいわ

飛鳥⇒あすか、ひちょう

銚子⇒さしなべ、さすなべ、ちょうし

墓石⇒ぼせき、はかいし

碁石⇒ごいし、きせき




 例外として読み間違いの可能性がありそうな以下も、ついでに書き記します。

て、つ』『今日日きょうび今日きょう』『おぼしき、おもう』『る、きたる』『みる、にじむ』『重々じゅうじゅう重々おもおもしい』『春日かすが春日はるひ』『未来みらい未来みく』『英雄えいゆう英雄ひでお』『武士ぶし武士たけし』『手拭てぬぐい、手拭てふき』


 同じ読みなのに、意味が異なる単語もありそうです。以下などがそれにあたるでしょうか。

『一杯』



 『同じ漢字だけど、読みが異なる』単語で、読み間違いを防ぐ方法も考えました。

1.ルビを振る

 文章を変えないでできる、最も簡単な方法です。

 量が多いと、逆に読み手をイラつかせる原因になってしまうかもしれません。

2.ひらがなで表記する

 『人気』ではなく『ひとけ』と書くだけで読み間違いはなくなります。

 やりすぎるとかなだらけになって、読みにくくなりそうです。

3.別の単語で代用する

 『人気ひとけがない』なら『人の気配がない』『人通りがない』など、別のニュアンスで伝えられないか模索します。

 元の文章を変える必要はありますが、ルビやかなを使いたくない場合は頼ることになりそうです。

4.誤って読まれないように文脈で防ぐ

 『強請られる』という文章があるなら『瞳をうるませて』とかがあったら『ゆすられた』と読む人は少ないでしょう。このようにして、誤って読まれないように文脈を考えます。

5.諦める

 単語によっては、気にしない精神で終わらせられそうです。

 『剣』を『けん』と読むか『つるぎ』と読むかによって、特に違いはありません。

 作者のこだわりしかないなら、無理にあれこれ考えるより『好きに読んで』精神で、こっちも表現したいまま好きに書くのもありかもしれません。

 『剣』を『けん』と読んだ人が、その単語を叫ぶなどの機会で『剣ぃー!』という文章を読んで衝撃をうける可能性はありそうです。



 読むことになれたら、これらの単語でも読み間違えなくなるのでしょうか。個人的には読み違えもなく、するすると読めるようになれることが最大の理想です。




◆更新履歴

更新履歴は長いので、近況ノートにまとめてあります。

https://kakuyomu.jp/users/GatoAaA/news

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る