異世界なんてこんなもん!
りらられ
第1話 日常の終わり
いつも通りの日常。いつもと同じ光景が過ぎ去っていく。
今年で高校2年生になる、志布志遥斗という少年は理系の進学校に通っている。自宅は少し田舎にあり、毎日電車で一時間かけて通学している。今は学校からの帰りで、自宅の最寄り駅に近づくにつれ人はまばらになっていく。毎日くりかえしていることだ。結局いつもと変わらない。そんな当たり前の日常に飽きている遥斗はいつもの口癖を呟く。
「この世界ほんとつまんねぇなぁ。どっかで面白いことでも起きないもんかねぇ」
遥斗は自分のやりたいことを見つけるために高校生の時点で理系に進学することを決めた。科学にはまだ自分の知らないことがたくさんある。
明確な道は決まっていないが、既に理系に決めているのだろう。
さて、そんな彼、遥斗が口癖を呟くには理由がある。遥斗は人の身に体現できるものではない力を有しているのだ。
そこそこの力を込め地面を殴れば隕石でも落ちてきたようなクレーターを作るのも容易だろう。その気になれば一ヶ月で日本くらいは破壊し尽くせると遥斗も自負している。
まあ、怪我覚悟ではあるのだが。怪我程度で1つの島を潰せるのだからその身体能力は馬鹿げていると自信を持って言えるだろう。
しかし遥斗自身なぜこんな力を持っているのだろうと疑問に思っている。当然だそんなことあり得ないのだから。幼い頃から賢かった遥斗は自分の異常性に気づき親にすら自分の力を隠した。遥斗の力について知ってるのは遥斗と神様なんて曖昧なものだけだ。
「ふぁぁぁ」
と、間の抜けた欠伸を1つ、最寄り駅に到着した電車から降りる。ここで自分より前を歩く改札手前の少女に気づく。遥斗と同じくらいの年だろう。遥斗はこの少女を知っている。
と言ってもほぼ毎日同じ時間に帰っているせいで見た目を完全に覚えてしまった名も知らぬ少女だ。遥斗の身長は170cmを越えた程度でまあ平均的な身長だろう。体の線は細いが筋肉はしっかりついている細マッチョだ。この体でクレーターを作るのだからどこに力があるのなんか本当にわからない。
そして、遥斗の前にいる少女の見た目は髪を後ろで1つにまとめた、黒髪ポニーテールに、セーラー服で身長は160cmくらいだろうか。顔をしっかり見た覚えのない遥斗はその程度の認識だろう。誰かと一緒にいるところを見たことはない、遥斗と同じボッチなわけだ。電車から降りたのはこの二人のみでいつもの禿げたおじさんは今日はいないようだ。
...なんてことを考えてた遥斗が改札を抜けたところで、その日の日常は日常から激しく逸脱した非日常に変わる。少女と遥斗の足元に大きな、金色に輝く、文字の羅列のような円形のなにかが顕れる!
「は!?え!?なにこれ!?待って待って待って!まぶしい!」
「おぉぉぉ!待ちに待ってた面白いことおきてるんじゃねぇか!?」
ここで初めて、少女と遥斗の視線が交錯する。そして次の瞬間には目映い光と共に二人の姿はこの世界からかき消えた。
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