第 3 部

かかあ天下

「いやなぁ、うちのカミさんってばおっかなくてよ。」


 この頃、俺はいろんな人の相談役をやっている。俺に相談するとなんでもことがよく運ぶと、次から次に人が来る。もうこのまま職業に出来るんじゃないかというほどだ。

 タネは本当に単純で、俺は話を聞いた後で上手くことがいくように状況を引っくり返している。みんな俺のアドバイスのお陰で…と言うが、助言なんてその場しのぎの適当なものばかりしかしていない。


 今日も会社の同期が相談にきた。結婚して早五年が経つ彼は恐妻家らしいが、そんな自分を変えたいという。


「俺が働いて得た金なのに、なんでアイツに管理されなきゃならねぇのかと思うと腹が立つんだけど、いっつも正論言われちまってなぁ…まぁ論破できねぇ自分が情けないって話なんだけどな。それにしても、なんでもかんでもケチつけるしな、いちいち口出すんじゃねぇよって、いっぺんでいいから言い返してみてぇんだけど。なぁ、どうしたらいい?」

 俺はやっぱり適当に返事をして、その後で彼ら夫婦の立場を逆転させた。













 一ヶ月後、旦那に愛想をつかした奥さんは家を出ていってしまったらしく、それから毎日、俺は彼の泣き言を聞くのに付き合わされている。

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