四匹の小さな夢

村崎 愁

第1話

とある街にも森にも近いところに仲の良い4匹の動物がいました。

4匹の動物たちはそれぞれに夢をもち、夜になると夢について語り合いました。

猫は「ぼくは、歌うたいになりたい。」他の3匹は、歌えないのになれるわけないよ、と言いました。

狐は「わたしは、誰かを暖める存在になりたい。」他の3匹は、家族でもないのに、無理だよ、と言いました。

狼は「殺し屋になりたい。」他の3匹は、きっと捕まっちゃう、と笑いました。

鳥は「コックになりたい。」他の3匹は、鍋も包丁も持てないのに、とまた笑いました。

4匹はなれなくても話しているだけで、幸せな気持ちになれました。


ある日狐の姿が見えないので3匹が探しにいくと、狐は女の人の首に巻きついていました。

「幸せかい?」と聞くと「もちろん。」とどこかから聞こえてきました。


次は猫がいなくなりました。2匹が探すと猫は、皮だけになり太鼓になり歌っていました。

「幸せかい?」と聞くと猫の太鼓を叩いている男が「もちろん。」と歌いながら言いました。


次は狼がいなくなりました。鳥が探すと、爪と牙だけになり武器が作られていました。

「幸せかい?」と聞くと返事はありません。


鳥は寂しくなり、一人で歩いていると、首を掴まれ、毛をむしられ、そのまま焼かれて食べられてしまいました。

空から3匹の声が聞こえました。

「幸せかい?」鳥を美味そうに食べている太った男が「あぁ美味い。幸せだ。」と言いました。


4匹は夢が叶いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

四匹の小さな夢 村崎 愁 @pirot1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る