第2話
とある想区にある深い森の中、カオステラーを探して彷徨っていた、レイナ、エクス、タオ、シェインの四人は、どんどん湧いてくるのヴィランの大群に襲われる。
接続(コネクト)と言う特別な力を使い、これを退けた彼等の前に、遥か上空からメガヴィランが飛来する。
大量の砂が辺りを舞う中、
ズズズ、
と身体のあちこちを軋ませながらゆっくりとそれは上体を起こし、こちらを向くメガヴィラン、
戦うしかない、
と四人が再び接続し、武器を構えると同時、
ズーン
とそれは地面に崩れ落ちた。
「…は?…」
四人は同時に疑問の声をあげる。
倒れたメガヴィランはそのまま弾け、紫の煙のようなものとなり消えてゆく
「…なん…だったんだ?あれ…」
「…さぁ…」
分からない、と四人が変身を解こうとした時、
「ふふ…ふふふ…」
何やらさっきまでヴィランがいた所から気味の悪い笑い声が聞こえてくる。
そして、
「あーははははははははヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ…」
一番ヤバイのは貴方ですよ
といいたくなるような狂った笑いをしながら、ふらふらと、今にもこけそうな、危なっかしい歩き方をして、
腰まである金色の長髪が特徴的な、ヒラヒラのついた可愛らしいドレスを身につけた一人の少女が姿を現した。
その手には、持ち手が120センチくらいあり、先には見るからに重そうな槌のついたハンマーを持っている。
少女はそれをズルズルと地面にひきずってこちらに向かって歩いてくる。
「あははは‼︎これよ!これなのよ!私が求めていたものは!この感覚!たまらないわぁ〜」
向こうはサーッとドン引きしている四人の存在に気づいた様子もなく、ハァハァと、上気した顔で何やらブツブツ言いながら近づいてくる。
「あれ…怖いですよ」
「だな…逃げるか」
「ええ、ヴィランなら何とか出来たかもしれないけれど、さすがに頭のオカシイ人間は関わらないに越したことはないわ」
「…賛成…」
向こうには聞こえないようヒソヒソと話をし、
さて、逃げようかと四人がゆっくりと走る体制を整えた時、
パキッ
と誰かが足元の枝を踏み割る音が、
「んん〜?なぁにか〜しら〜?」
グルン
と首だけ回してこちらを見る少女、
「ひィッ」
誰かが引きつった声をあげると同時
「走れぇー‼︎」
タオが叫び、何とか三人は我に返り走り出す。
が、
「おいおいうそだろ?」
四人が走ろうとした方向に、さっき10メートルは後ろにいたはずの少女が回り込んで立っていた。
「どぉ〜して逃げるのかしら〜?」
ギラギラと殺意に目を光らせ今にも襲いかからんとする少女、
だが、
その声は目の前にいる少女からではなく後ろから聞こえてくる。
「…⁉︎」
「どう…なってる…?」
「同じ人間が…二人…⁈」
同じ服、片手には同じハンマー、同じ見た目の人間が、自分たちの前と後ろにいる。
この謎の事態に、エクス、タオ、シェインがそれぞれ疑問の声をあげる、だがレイナだけはその異変に違う反応をする。
「あれ…カオステラーよ…」
四人が逃げようとした先に現れた2体目の少女を指さして、今回の標的であることを告げる調和の巫女、
「何⁉︎あれがカオステラーだと?」
「…後ろの頭のオカシイ方じゃなく?」
そう、
彼等の前に現れた方の少女は、いまだに奇声を発するでも、その手に持っているハンマーで殴りかかってくるわけでめなく、ただボー、っとした感じで立っているだけなのだ。
まだ、後ろのヤバイ方がカオステラーと言うならわかるが、前のおとなしい方がカオステラーといわれても何とも言えない。
連続して起きる訳のわからない事態に戸惑う四人、そして
「みつけたわよ〜もう鬼ごっこは終わりかしら〜」
とうとう追いつかれる
こうなったら取り敢えず後ろだけでも何とかしなくては、と言葉を交わすでもなく同時に接続、変身する四人、
「お前ら、分かってるな?」
「うん」「はい」「ええ」
考えていることは同じ、
と最低限の打ち合わせでこれからの方針を決める。
四人が考えていることはこうだ、
「理由は分からんが、前のおとなしい方がカオステラーというなら、そっちを叩いてヤバイ方は無視‼︎」
だ、
決まるが速攻、
四人で一斉に、前のおとなしい方の少女に攻撃を開始する。
何も殺さなくて良いのだ、道さえ開けてくれれば、
そう思い、武器を振るった四人だったのだが、
「何だと⁉︎」
攻撃は少女に届くことなく見えない何かに弾かれた。
「私達の攻撃が」
「弾かれた⁉︎」
「一体何が」
完全に勢いを殺された四人、
すると
「あら?あなた…まぁいいわ、な〜にやってんのよ〜私もまぜなさいよ〜」
一瞬、何かに気づいた様子の少女だったが、構うことなく襲いかかってくる。
ならもうこっちの少女をどうにかするしかないと、遂に少女と戦う決意をした四人、
片手で重そうなハンマーを振り回しながら、狂気じみた顔で四人に突撃してくる少女、
そして、
四人を無視する形ですり抜けていき、前に現れた2体目の少女にハンマーを振り下ろした。
「…?…⁇」
何が起きているのか分からず、ハテナが一杯の四人
今まで追いかけ回してきていた少女の突然の無視に、唖然としていた四人だったが
ガキーン‼︎
という金属同士がぶつかる音で現実に引き戻される。
どうやら、少女が振り下ろしたハンマーも、もう一人の少女に弾かれたようだ、
さらに
「…‼︎」
「ヴィランが」
いつの間に現れたのか、十数体のヴィランがエクス達四人を包囲していた。
「理由は分からないけど」
「取り敢えず今はヴィランを何とかするか」
タオとエクスがそう言っている間もハンマーを振り回す少女と、それを見えない壁のような何かで防ぐ同じ姿の少女、
「ええそうね、あっちは勝手に潰しあって貰いましょう」
「…あのハンマー、なかなかいいですね」
二人に同意するレイナと、何か違うことに興味を持っているシェイン、
そうこうしているうちにヴィラン達の包囲網は縮んでいき、射程圏に入ったようで一斉に飛びかかってくる。
「おし‼︎やるぞ‼︎」
タオの掛け声と共に四人とヴィラン達の戦闘が始まった。
__________
「ゼェーハァー」
「数が…多すぎる…」
「キリがないわね」
「これは…ちょっとキツいですかね…」
最初こそ、十数体だったヴィランの群れも、いつの間にか二十、三十、と増えていき、今では五十を超えている。
あまりの数の多さに体力が尽き、満身創痍の四人、
逃げようにも完全に囲まれており逃げ道がない
「まさか、こんなところで…」
レイナが絶望を感じさせる声音で諦めの言葉を口にする。
「ダメだレイナ!諦めたらそこで…」
エクスがレイナを励ますべく、言葉を投げかけようとした時、
「スットラーーーイクゥゥゥ‼︎」
先程、自分達を追いかけ回していた少女の声が辺りに響き渡る。
そして、
ドドドド…
と地響きのような揺れがしたかと思った、次の瞬間
バァァン!
とエクス達四人を包囲していたヴィランの群れの一角が弾け、そこにいたヴィランが十体ほどまとめて消し飛んだ。
「⁉︎…何が起こった?」
突然できた突破口に疑問の声が漏れるタオ、
「何でもいいです、今はとにかく逃げましょう!」
シェインの言葉に全員がうなづき一斉に走り出す。
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